中国の地方政府債務問題が深刻化している。一部の省政府は、救済措置として、有名な白酒メーカーの株式を無償で取得し、各社の知名度を通して金融市場から資金を調達し、債務不履行(デフォルト)を回避しようとしている。
中国メディアの報道によれば、白酒メーカー最大手の貴州茅台酒は昨年12月下旬、時価総額1055億元(約1兆6922億円)相当の5024万株を貴州省国有資本運営公司(以下は貴州国資)の名義の下に渡した。譲渡された株式は、同社の全株式の4%を占める。
貴州国資の親会社は、同省政府が2013年12月に設立した国有資産を管理する国有企業である。
貴州茅台酒は19年にも、570億元(約9143億円)相当の株式4%を無償で貴州国資に渡した。
中国経済情報サイト「華爾街見聞」によれば、貴州国資はこれまで金融市場で2回貴州茅台酒の株を売却し、資金を調達した。20年下半期で、株式売却により最大780億元(約1兆2511億円)の資金を獲得した。
貴州省財政庁の統計では、19年末までの同省の政府債務残高が9673億元に達した。省政府の債務率は148.47%で、返済能力が低い。
貴州茅台酒は近年、高級白酒の需要拡大で、増益増収の好景気が続いている。「華爾街見聞」は、貴州茅台酒が無償で株式を譲ったことは、省政府に「タダで輸血した」との見方を示した。
一方、安徽省の白酒メーカー、安徽古井貢酒股份有限公司は今月15日、声明を発表した。同省毫州市政府の国有資産監督管理委員会は、保持している親会社、安徽古井集団有限責任公司の株式6%を、安徽省財政庁に譲渡したという。時価総額38億元(約610億円)相当。
また、瀘州老窖や老白乾酒など造酒大手も、一部の株式を地方政府に譲渡した。
業界関係者は、中国当局が地方政府の隠れ債務による金融リスクを防ぐために、資金繰りが安定して信用度の高い企業を担保に回したとの見方を示した。
(翻訳編集・張哲)
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