香港、次の矛先は法輪功か 親北京派議員が禁止提案 デマ拡散も

2021/07/10 更新: 2021/07/10

香港当局は最近、反体制派を排除する動きを加速している。立法会7日の会議で、複数の親北京派議員は政府に法輪功(ファルンゴン)を「調査」「禁止」するよう圧力をかけた。法輪功への弾圧が始まった1999年以降、立法会でこの話題について言及されたのは初めてだ。

香港政府は6月、昨年導入した国家安全維持法を盾に中国共産党に批判的な新聞「蘋果日報(アップル​デイリー)」を廃刊に追い込んだ。法輪功は新たなターゲットになる恐れがあるとみられる。

親北京派議員が集中砲火

同日の会議で、親中派政党・民建連所属の葛佩帆議員は、香港政府が法輪功を禁止するかどうかと口火を切った。同氏は7月1日に起きた警察官襲撃事件を、法輪功学習者が運営するメディアが生中継したことに疑問を呈し、法輪功学習者の関与を強く示唆した。

その後、複数の親中派議員は、政府に対して法輪功団体の金融口座の凍結や、法輪功の活動への調査を求めた。政権転覆や国家分裂を禁じた基本法23条の立法化を促した議員もいた。

弁護士でもある謝偉俊議員は、街頭で活動する法輪功学習者を摘発しない当局の「無作為」を非難し、刑法の「煽動罪」を使って取り締まることを求めた。これに対し、治安機関を統括する保安局トップの鄧炳強局長は、「2013年から21年5月までに、国有地にある法輪功の宣伝物が3525回没収された」と回答した。

鄧氏は最後に、「政府は、国家安全保障を脅かすいかなる団体に対しても、広範な捜査を行う。証拠が得られれば、資金凍結などの措置を講じる」と述べた。

香港法輪大法学会の声明

これを受けて、香港法輪大法学会の会長・梁珍氏は、中国共産党が立法会の質問によって、法輪功への迫害を香港にまで拡大し、香港で法輪功を禁止しようとしていることを非難する声明を発表した。

梁氏によると、法輪功は香港で合法的に登録された団体であり、基本法に定められた信教の自由と人権を享受している。この20年間、すべての香港人は、法輪功学習者が人権迫害に直面しながらも、非暴力で平和的に真実を語る姿を目の当たりにしてきたという。

同氏は「法輪功学習者の大きな優しさと寛容さにより、法輪功は香港でますます人気を集めている。法輪功は、香港の人々に希望を与えている」とした。現在、親北京派議員が提案している法輪功の弾圧は、香港人の意思に反するものだと指摘した。

また、親北京派議員が、警察官襲撃事件が法輪功と関係しているかのような発言をしたことに対し、梁氏は「このような不条理な方法で法輪功を歪曲し、中傷することを強く非難する」と語った。

親北京派団体がフェイクニュースで攻撃

香港が英国から中国に返還されて24周年に当たる1日、香港の繁華街コーズウェイベイ(銅鑼湾)の路上で、豆乳メーカー「ビタソイ」社の幹部が警察官を刺した後、自殺を図り死亡した事件があった。

事件後、複数の親北京派団体がほぼ同時に、法輪功学習者の関与を主張した。また、インターネット上では、「法輪功学習者が事件現場でカッターナイフを持っていたために警察に逮捕された」というフェイクニュースが流れている。

フェイクニュースに使われた写真には、黒い服を着た女性が警察に逮捕されている様子が映っている。警察は女性の所持品からカッターナイフを発見したと発表した。

親中派団体がソーシャルメディアで、黒服の女性は法輪功学習者だと主張している。これに対し、香港法輪大法学会の梁珍会長は、「この女性を見たことがない」と否定した。警察は現時点で逮捕に関する声明を発表していない。

20年前に中国共産党が演じた「偽火」、香港で再燃か

豪シドニー工科大学の馮崇義教授は大紀元に対して、立法会で突如、法輪功問題が取り上げられたのは「明らかに中央政府の指示によるものだ」と述べた。「中央政府は香港から法輪功を排除する計画を進めている」と懸念を示した。

時事評論家の石山氏は大紀元の取材に対し、「中国共産党は社会的危機をエスカレートさせ、香港を完全に支配しようとしている」とし、これは、20年前に中国共産党が弾圧の口実として自作自演した「天安門焼身自殺事件」に似ていると指摘した。

2001年1月23日、当時の江沢民国家主席、羅干・中央政法委員会書記、国営中央テレビ(CCTV)のナンバー2を務めていた李東生副局長らが仕組んだ「天安門焼身自殺事件」は、法輪功学習者に無実の罪を負わせ、中国国民の憎悪を煽った。

国際連合NGOの国際教育発展機構(IED)が2001年8月14日、国連の会議で「関連ビデオに関する分析結果として、いわゆる『天安門焼身自殺事件』は中国政府が演じたものであり」「国家ぐるみのテロ行為だ」と正式な声明を出した。

(翻訳編集・王君宜)

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