オーストラリアはこのほど、南太平洋の島しょ国家フィジーの空港再建のために6800万ドルを提供した。地域で強まる中国の政治的な影響力に対処している。
2019年7月に設立した「太平洋諸島地域のためのオーストラリア・インフラ融資ファシリティ(AIFFP)」は、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ) と提携し、パンデミックからの復興に向けて、フィジーにあるナンディ国際空港の旅客輸送能力を高めるためにインフラ整備を支援する。
豪政府関係者のゼッド・セセルジャ氏は、オーストラリアは南太平洋地域における「高品質かつ低価格」のインフラプロジェクトに尽力している。
「このプロジェクトは、オーストラリアがAIFFPを設立した理由を示す模範例だ」と大紀元にコメントを寄せた。
ANZ銀行のCEOであるShayne Elliottは、「ANZは、この地域で拡大する貿易や投資の機会と顧客を結びつける、重要な役割を担っている」「海外旅行が再開された際に、フィジーが迅速にキャパシティを拡大できるようなインフラ投資は、将来の成長を促進するには不可欠だ」と声明の中で述べた。
今回の空港建設は、豪外務貿易省(DFAT)傘下のAIFFPが支援する4番目のプロジェクトとなる。AIFFPはこれまでに、パプアニューギニアの太陽光発電所、パラオの海底ケーブル、ソロモン諸島の水力発電所など、5つのプロジェクトを支援してきた。
AIFFPは、2018年にスコット・モリソン(Scott John Morrison)政権で設立された。中国当局が南太平洋地域への低コストの投資を通じて影響力を強めることを念頭に置きながら、オーストラリア政府が公表した「パシフィック・ステップ・. アップ(Pacific Step-Up)」の一環として設立された。
7月、豪政府と豪通信大手テルストラが、主に太平洋・カリブ海で事業を展開する世界的な通信事業者デジセル(Digicel)の携帯ネットワークの買収について共同で取り組んでいた。
専門家は大紀元に対し、この取引は商業的には成り立たないにもかかわらず、豪政府は中国政府からの潜在的な綱引きを防ぐために、この会社の買収に資金を提供したいと考えていたという。
南太平洋地域は、民主的な同盟国と中国当局との間の綱引きの中心となっている。中国共産党は、「一帯一路構想(BRI)」などのインフラ投資やワクチンの寄付などを通じて、太平洋における島嶼国の指導者たちの支持を得てきた。
しかし、太平洋諸国の反応は多様であり、中国との関係を受け入れる国もあれば、完全に断る国もある。例えば、サモアの新首相フィアメ・ナオミ・マタアファ(Fiame Naomi Mata'afa)氏は、中国が支援する首都近郊の1億ドル相当のBRI港湾開発計画を取りやめる考えを正式に表明した。これは、20年以上にわたって中国共産党と緊密な関係を維持してきた、サモア前政権からの大きな変化といえる。
(翻訳編集・蘇文悦)
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