米カリフォルニアに拠点を置くIT企業はこのほど、中国の通信機器大手・ファーウェイがパキスタン政府のソフトウェアシステムに「バックドア」を設置したと告発した。
米国のソフトウェア会社BES(Business Efficiency Solutions LLC)は11日、カリフォルニア州サンタアナの地方裁判所(US District Court in Santa Ana, California)に、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を相手取り訴訟を起こしたと、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)14日付が報じた。
BESはファーウェイによる企業秘密の窃盗や、ファーウェイがパキスタンの国家安全保障上の重要機密情報を得るためにバックドアを仕掛けたと告発した。
パキスタン政府のセキュリティ部門は、調査に乗り出した。
英IT総合誌「The Register」13日付によると、BESは訴訟で、同社とファーウェイは提携して、2016年からパキスタンのパンジャブ警察統合通信センター(PPIC3)向けのソフトウェア開発を行った。その際、ファーウェイはBESのデータ交換システム(Data Exchange System,DES)を利用してバックドアを仕掛けたと主張した。
訴訟の証拠資料の中には、BESの創業者でCEOのJaved Nawaz氏が2017年3月28日にファーウェイに送付したメールが含まれていた。メールの中で、同氏はファーウェイに対し、PPIC3がその機密データを中国で保存することに同意したかどうかを尋ね、PPIC3からの承認書類を提供するよう求めていた。
しかし、BESに対し、ファーウェイはまず「承認は必要ない」と述べ、後に「パキスタン政府からの承認は得たが証明書類の提供はない」と返答したという。
ファーウェイはさらに、BESが要求に応じなければ契約を解除し、すべての支払いもストップさせると圧力をかけたという。
BES側は、パキスタン政府の承認を得たというファーウェイの主張を考慮して、やむなく中国国内のシステムにバックドアの設置を認めたという。
BESはまた、ファーウェイによる企業秘密の窃盗についても訴えた。それによると、ファーウェイはBESから価値ある企業秘密やその他の知的財産権を得た後、その技術を利用して、BESのサプライヤーなどからBESのソフトウェアシステムを密かに入手していたという
長年にわたり、ファーウェイがその設備にバックドアを設置して企業秘密を窃盗する問題は常に懸念されてきた。
WSJは昨年2月、ファーウェイは2009年の4G時代から、その電子設備の中にバックドアを仕込んでいたが、同社設備を購入した通信事業者はそれを全く知らないと報じていた。
現在、米国、オーストラリア、英国、カナダ、フランスなど世界の多くの国ではファーウェイ排除に動いている。
米連邦通信委員会(FCC)は2020年6月、ファーウェイと中興通訊(ZTE)を安全保障上の脅威として正式に指定し、米企業は政府の補助金を使って両社の機器を購入することが禁止された。
米政府は同年7月、これら安全保障上の脅威と見なす通信機器をネットワークから排除するプログラムに19億ドルを拠出する案を可決した。
米国はさらにファーウェイによる企業秘密の窃盗や中国軍の背景を理由に、同年9月15日から米企業および米国技術を用いて製造した半導体をファーウェイに供給することを禁止した。
(翻訳編集・李凌)
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