中国上海では大手書店の店頭に置かれている英語学習書籍や問題集が突然、撤去された。当局は「本の陳列を変えるためだ」と説明しているが、市民らは子どもの英語学習に支障をきたす恐れがあるとして不安を抱いているという。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、上海市民は23日、大手書店、新華書店の一部の支店で、『オックスフォード英語』などの英語学習用書籍がなくなっていると訴えた。一部の保護者は、市内の別の書店である上海書城でも、以前販売されていた英語学習用書籍が店頭から取り下げられたとRFAに述べた。保護者は、子どもが英語を勉強できなくなるのではないかと不安になっている。
女性市民の李さんは「十数日前、上海市教育委員会が通達を出して、当局の許可を得ていない教材や問題集などを認めない方針を示した。この方針の下で、学校も学生も購入できなくなった」とした。
李さんによると、周りにいる保護者は今、ネット上でも英語関連の教材などが入手困難になったと強い不満を示している。
また、「正規版の書籍を買えなくなった顧客のために、復刻版を販売する本屋もあるが、最近、その経営者が逮捕された。親として、私たちは非常に不安で子どもの勉強を心配している」と李さんは述べた。
新華書店と上海書城の運営会社である上海新華伝媒股份有限公司は25日、声明を発表し、市内の各新華書店と上海書店で、英語関連書籍は引き続き販売していると強調した。上海書店の五角場支店で一部の売り場が空となったのは「(陳列棚の)配置を変えるためだ」と説明した。
江西省に住む学者の蘇氏はRFAに対して、「中国当局が英語教育を弱体化する方針を出しているため、今後、高校と大学に進学する学生が大幅に減る可能性がある。中学生のうちの半分は高校ではなく、専門学校に進学し、大卒より早く就職するだろう」と指摘した。
同氏は、中国当局には大学生の人数を押さえたい狙いがあると分析。「中国当局の一人っ子政策で、少子高齢化が急ピッチで進んでおり、さらに製造業においては人手不足が深刻化している。当局は労働人口の不足を解消したいと考えているのだろう」
上海市教育委員会が3日に公布した通達は、英語教材について必ず当局の使用許可を受けなければならないと各小中高校に要求した。また、小学校3年生から5年生が受ける期末試験の科目は国語と算数に限定するとして、英語を除外した。
(翻訳編集・張哲)
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