中国、60数カ国で港運営 軍事転用も可能 世界支配戦略の一環か

2021/09/04 更新: 2021/09/04

世界貿易の約8割が海運に頼っているため、港湾は海上輸送の節点である。世界十大港湾の7つを占める中国の大手国営企業は60以上の国で港の建設に関わったり、投資したり、港の運営権をリースしている。米英の軍事専門家らは「港湾を管轄する中国は出兵することなく戦略的支配の立場を得られる」と懸念を抱いている。米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。

ギリシャのピレウス港は、「海上の交差点」といわれるエーゲ海に位置し、ヨーロッパ大陸や中東、アフリカに直結するヨーロッパの南玄関口で、ギリシャ語では「通路を守る要所」といわれるほど地中海の重要な港湾である。中国の大手国営海運会社「中国遠洋海運集団(COSCOCS)」は、2016年にピレウス港の運営権を買取した。ギリシャの裁判所はこのほど、COSCOCSへの同港の株式譲渡を新たに承認し、COSCOCSの出資比率も51%から67%に引き上げられた。

COSCOCSはドイツ最大の港のハンブルク港への投資にも意欲を見せており、ドイツ側との交渉は終盤に差し掛かっているとみられる。

北海とバルト海の間に位置するハンブルク港は、世界で最も重要な貿易中心地の1つで、ヨーロッパの最大の鉄道港である。港のホームページにはすでに中国語版ページが増設され、「ヨーロッパ最大の鉄道港が中国につながる新たなシルクロード上で重要な役割を果たしている」と称えた。ハンブルク港のアンジェラ・ティツラス最高経営責任者(CEO)は8月中旬、「投資交渉は順調に進んでいる。近いうちに結果が出ると思う」と述べた。

中国が海外で投資している国際港はほかに数多くあるが、リストは公表されていない。「中国の海外港湾プロジェクトのデータ分析」と題する中国の研究報告書は、中国の港湾実力は過去20年間に「急速に発展した」とし、2019年時点で、中国が買収、投資、建設支援、リースした港湾は101カ所で、世界の6大陸に及んでいると記した。

リアム・フォックス元英国際貿易大臣とロバート・マクファーレン元米大統領補佐官は、このほど共同執筆した記事で次のように懸念を示した。「中国は世界中で96の港を運営しており、一部の港はエネルギー貿易を含む海上貿易の要所に位置する。言い換えれば、中国は出兵することなく戦略的支配の立場を得られる」

COSCOCSのホームページによると、今年6月までに、同社は東南アジア、中東、ヨーロッパ、南アメリカ、地中海の36の港で357のバース(荷役を行う港湾施設)を運営・管理しており、そのうち210はコンテナバース。

港湾投資・開発・運営を担う別の中国国営大手「中国招商局集団(China Merchants Group、CMG)」は、昨年だけでヨーロッパ、中東、カリブ海の8つの優良埠頭の株式を大量取得し、それにより同社は27カ国の68の港を運営・管理している。

中国の港湾会社のホームページや官製メディアの情報を調べたところ、中国は63以上の国で、バースの取得、建設、リースなどの投資活動を行っている。

米シンクタンク「民主主義防衛財団」の非常勤研究員クレイグ・シングルトン氏はVOAに、中国のグローバル戦略の主旨は、海の要所にある国を含めて、地理的に有利な国に港を建設することだと指摘した。「これらの港のつながりにより、中国政府は港のある国で政治的影響力を行使できるだけでなく、多くの場合、近隣諸国に対しても政治的影響力を行使することができる」

中共中央委員会の出版物「求是」誌は、「習近平氏の心の中で港は常に重みを持っている」と形容した。

商業港が軍事転用の可能性も

米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書によると、パキスタンのグワダル港は、インド洋にある中国海軍の基地ネットワークの一部、または海軍の海外係留基地の重要な節点になりうる。

商業港は、軍事目的の転用が可能といわれている。

中国初の海外軍事基地は、紅海とスエズ運河の入口に位置するジブチ港に設立された。

米アフリカ軍司令官スティーブン・タウンゼント大将は今年5月、AP通信に、中国はアフリカの西海岸に潜水艦や空母停泊用の大型軍港を建設する計画で、周辺諸国に働きかけていると話した。

中国の「上海国際港務集団」は、イスラエル最大の港、ハイファ港の運営を来月から開始する予定で、リース期間は25年間。アメリカは近年、米第6艦隊が頻繁に寄港する地中海のこの重要な港が中国の管轄下に置かれることに繰り返し懸念を表明し、イスラエル政府に対して、米国との安全保障関係を損なう可能性があると警告している。CIAのバーンズ長官が最近イスラエルを訪問した際に、イスラエルのベネット首相にこの問題を再び言及した。

前出の米軍事専門家シングルトン氏は、「世界中の危機に対応する米海軍に影響を与えることは、中国にとって可能になる」と世界各国の港を管理する中国の動きに警鐘を鳴らした。

(翻訳編集・叶子)