中国の「海上交通安全法」の改正法案が9月1日から発効した。法案の目的は、中国の主張する「管轄海域」を通過する外国船への管制を強化するためだという。
中国海事安全局はこのほど、同新法に基づき、中国の領海に進入する次の5種類の外国船は海事局に報告する義務があると通達した。
潜水艇▼原子力船▼放射性物質を運ぶ船▼バルクオイルや化学物質、液化ガスなど危険有害な物質を運ぶ船▼法律、行政法規または中国当局規制が定める中国海上交通の安全を脅かす可能性のあるその他の船舶。
中国は今年2月から「海警法」を施行、4月に「海上交通安全法」改正法案を打ち出した。立法手段を使って海上主権を主張するそのやり方は、近隣諸国や国際社会の関心を呼んでいる。
米週刊誌ニューズウィークは8月31日、専門家の見解として「中国政府が好まない外国船舶、特に軍用船が制限を受ける可能性がある」と報じた。
新法は、2013年に中国国防部が「東シナ海防空識別区」を設定し、当該空域を飛行する航空機は中国国防部の定める規則に従わなければならないというやり方に似ている。当時は日米などの国に反対され、事実上、空文になり施行されることはなかった。
今回の新法に関しては、米国を含む主要国が遵守するはずがないとの専門家の見方が多い。
中国外交および軍事政策と米中関係に詳しい、米マイアミ大学の専門家ジューン・トイフェル・ドレイアー氏は、新法は国連海洋法条約に抵触し、中国の一方的な行動だと、米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に述べた。
ドレイアー氏は、新法に基づいて、中国政府は領海の拡張、通行不能海域の指定などを好き勝手に行うことが可能になると指摘した。インド太平洋地域の航行の自由を妨げると懸念を示した。
日本や米国などの関係国、ヨーロッパの一部の国は反対の意向を示した。
オーストラリアは、自国海軍は新法に拘束されず、国際法に従って航行の自由を行使し続けると表明した。
中国人民大学の国際関係専門家の時殷弘(し いんほん)氏も、この法律の実施は難しいとみている。東シナ海と南シナ海で中国と領有権紛争中の国々や、中国側の領有権主張を認めない西側諸国は新法を遵守しないはずだと述べた。
(翻訳編集・叶子)
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