ロイターによると、中国の政府系企業が、国内の電子商取引大手アリババグループ傘下のフィンテック企業アント・グループに初めて大規模出資をし、個人信用調査会社を共同で設立する予定だという。「消費者データの国有化」との懸念が浮上している。
アントの「信用スコア」業務が政府系企業に引き継がれる。記事は関係者の話として、アントと国有企業の浙江省旅游投資集団が同個人信用調査会社のそれぞれ35%の株式を保有すると伝えた。アントのモバイル決済アプリ「アリペイ(支付宝)」を通じて独自に収集した10億以上の膨大な消費者データの管理権限を手放すことになる。
消費者データを分析し、利用者の信用度を評価する信用調査会社は現在、中国に「百行征信有限公司(バイハン・クレジット)」と普道信用の2社がある。今回3番目となる大規模な信用調査会社は早ければ10月に設立される見通しだ。
アント傘下の信用スコア「芝麻信用(セサミクレジット・ジーマ信用)」は長年にわたり、信用情報の共有に消極的だった。
ほかのハイテク大手も政府の介入に直面している。6億人のユーザーを持つ短編動画アプリTikTok(ティックトック、抖音)の親会社である北京字節跳動科技(バイトダンス)は8月、1%の株式を国有企業に売却し、さらに当局関係者1人の取締役就任を認めた。
政府関係者が取締役会に参加すれば、政府による同社の経営への介入は避けられないとみられる。
中国の配車サービス大手、滴滴出行(ディディ)も例外ではない。ブルームバーグは3日、関係筋の話として、北京市政府が滴滴への出資を提案しており、政府系企業が同社の支配権を握る可能性があると報道した。
滴滴などのデータが党に渡ることは、影響力強化を狙う習近平氏が行っている「新・文化大革命」の一環であるとブルームバーグは分析した。
法整備の面でも中国政府はビッグデータを活用するハイテク企業を締め付けている。中国の全国人民代表大会(国会相当)常務委員会は8月、個人情報保護法を可決した。民間企業によるオンラインデータ収集を規制した。
中国政府はデータ管理の強化を目的に、2017年に「サイバーセキュリティ法」を施行し、今年9月に「データ安全法」を施行する予定。
(翻訳編集・李凌)
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