カナダ政府、中国通信事業大手チャイナモバイル子会社に撤退命令 安全保障上の懸念から

2021/09/13 更新: 2021/09/13

カナダ政府は国家安全保障上の懸念から、中国国営通信会社・中国移動国際(チャイナ・モバイル・インターナショナル、CMI)のカナダ子会社に対し、撤退を命じた。カナダ紙グローバルニュース11日付によると、政府は過去1年にわたり、同社に対して秘密裏に調査を行っていたという。

CMIは、中国国有通信最大手の中国移動(チャイナ・モバイル)の完全子会社である。

2015年に設立されたCMIカナダは、プリペイド通話プランなどのモバイル通信サービスを提供している。自社通信ネットワーク設備などを所有せず、カナダの大手電気通信事業者「Telus Communications Inc.」と提携して、無線通信サービスを提供している。

カナダ投資法(Investment Canada Act)と投資の国家安全保障審査規則(National Security Review of Investments Regulations)により、連邦政府が外国企業による投資の審査を認めている。

今年1月、政府はCMIカナダに対し、投資によって、カナダ企業が中国に利用されている可能性があるとして、安全保障上の理由から審査を行うと通知した。同社の活動は「重要インフラの侵害や対外干渉などの非商業的な目的で、カナダの国家安全保障に悪影響を及ぼす」としている。

連邦政府は8月9日、同社に対し、90日以内にカナダでの投資を完全に売却するか、カナダでの事業を終了するよう命じた。

CMIカナダは現在、政府の決定を無効にするよう連邦裁判所に申請している。

チャイナ・モバイルをめぐっては、米連邦通信委員会(FCC)は2019年5月9日、同社の米市場参入申請を却下した。FCCは声明で「中国当局がチャイナ・モバイルを利用し、米国の通信網を通じて、米国における産業スパイ行為や情報収集を行う恐れがある」とし、「これは絶対に受け入れられないリスクだ」との認識を示した。

(翻訳編集・李凌)