米司法省は、国家安全保障上の懸念から、オンライン会議アプリなどを提供するZoomによる米クラウドサービス会社Five9の買収案を審査している。 米メディア「ザ・ヒル」などが21日に報じた。
司法省の発表によると、米国電気通信サービス分野における外国勢力・参加評価委員会であるチーム・テレコム(Team Telecom) が、同買収案の許可申請を再検討している。同省は米連邦通信委員会(FCC)にチーム・テレコムの審査が終わるまで、買収の承認を行わないよう要望したという。
Zoomが7月に発表した同買収案の総額は約147億米ドル(約1兆6275億円)。同社にとって過去最大規模となっている。取引は2022年上半期に完了する予定だった。
クラウドコンタクトセンターサービスを手掛けるFive9は、世界中の2000社以上の顧客にデジタルエンゲージメント・分析・ワークフローの自動化・従業員の最適化・実用的なAIを提供している。
Zoomは米カリフォルニア州サンノゼに本社を置き、2011年に中国出身のエリック・ヤン(中国名:袁征)が創業した。主要な開発拠点は中国に設置されている。ナンシー・ペロシ米下院議長は昨年、米メディアのインタビューで、Zoomを「中国系企業だ」と発言した。
同社は2020年初めに、「誤って」一部のオンラインミーティングを中国のサーバーを介して行ったと認めた。同年6月、中国政府の圧力を受け「六四天安門事件」追悼イベントを開催した活動家のアカウントを、一時停止した。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、米コンサルティング会社ISSは、Zoomの成長見通しを楽観視せず、Five9の株主に買収反対票を投じるよう勧告した。買収はZoom社の「中国での大規模な業務」に関連する政治的リスクに直面すると指摘した。
(翻訳編集・叶子)
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