報道によると、日本の大学31校が先端技術分野の外国人留学生に対して身元調査の厳格化を実施、または検討しているという。中国共産党が掲げている「軍民融合」戦略に対する警戒感が高まっており、留学生らを通じた技術流出を防ぐために、日本政府は先端技術に対する管理を強化しつつある。
共同通信社が23日、国内の国公私立大学67校を対象にした調査の結果を発表した。回答した56校のうち、31校は留学生の身元調査について、過去の学歴や職歴などの精査を厳格にすることを実施・検討していることがわかった。
これまで多くの大学は、留学生に対して最終学歴の申告のみを求めていたが、今回の調査結果によると、軍事関連組織への就職希望調査を防止対策とする大学は10校、海外機関から資金支援を受けていないかを調査する大学は14校だという。さらに、24校が帰国時に規制技術を持ち出さない誓約書やチェックを実施、または検討しているという。
これに先立ち、日本に留学する外国人学生に安全保障に関わる技術の持ち出しを禁止するとの注意喚起を行なっていない大学は6割であることが、経済産業省と文部科学省の合同調査で明らかになっている。日本の海外留学生数は2020年5月1日時点で27.9万人。中国が12.1万人で最も多く、次はベトナム人で6.2万人と続く。
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菅政権が2021年7月に閣議決定した成長戦略実行計画は、海外からの留学生らを通じた技術流出を防ぐために規制の強化などを盛り込んでいる。世界中に中国への技術流出の懸念が高まっているなか、政府は6月18日の閣議で、先端技術の海外流出を防ぐための科学技術政策「統合イノベーション戦略」を打ち出した。経済安全保障の推進を訴え、中国の「千人計画」などを念頭に対処していくという。
(蘇文悦)
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