フランス上院は5日に記者会見を開き、『大学における欧州以外の国の影響』(les influences étrangères extra-européennes à l’université)と題した特別報告書を発表した。報告書は、中国当局が孔子学院を利用して、フランスの大学や学術界に対して影響力を行使していると指摘した。
報告書は243ページに及ぶ。フランス国内外の政治家や専門家50人以上と、同国内のすべての高等教育機関を取材した。上院の外交・防衛・軍事委員会のアンドレ・ガットリン(André Gattolin)副委員長が9月29日に同報告書を上院に提出した。
上院の報道担当者は記者会見で、フランスの研究機関と高等教育界は「現在、外国政府の影響力を受けている」と述べ、「一部の国は組織的に」フランスの学問の自由に干渉しようとしているとした。
報告書の作成責任者であるエティエンヌ・ブラン(Étienne Blanc)上院議員は、中国当局を名指し、「全世界範囲で、最も組織的な影響力を行使している国だ」と批判した。
報告書は、中国当局は高等教育界に対する影響力を行使することによって、中国という「国のイメージや評判を向上させ、当局の主張などを宣伝する」と同時に、「重要な科学技術情報を収集して、経済や軍事などにおける優勢を獲得する」と示した。
報告書は、世界各地に設立された孔子学院は中国当局の影響力拡大に使われているとした。中国文化を広めることを目的とする孔子学院は、実際には中国当局の「プロパガンダ宣伝の道具」であり、各国の「学問の自由を脅かし、スパイを匿っている」と手厳しく批判した。
上院は報告書の中で、国内の教育機関に対して、中国当局による影響力拡大に警戒するよう呼びかけた。
報告書は5つの目標と26の提案を示した。具体的には「外国政府による干渉を政治的な優先課題にする」「各機関はフランスの科学研究と学問の自由を一段と固く守り、21世紀の最大課題の一つに対応するために備えるべきだ」などの提案がある。
フランス軍事学校戦略研究所(IRSEM)も9月20日に公表した調査報告書で、中国当局の影響力拡大や浸透工作などの実態を明らかにした。報告書は孔子学院について、「中国共産党のイデオロギーに準じる教材を採用している」「政治と業務の両面において良好な資質を備え、かつ、祖国を愛することを講師採用の条件にしている」と指摘した。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。