8日、9日に行われたチェコ下院の選挙で、ボヘミア・モラビア共産党(KSCM)の得票率は3.62%にとどまり、議席獲得の基準となる5%を下回った。チェコの共産主義勢力が議会から追放されたのは、1948年以来初めてだ。
KSCMのヴォイチェフ・フィリップ党首は、選挙結果を受けて「これは大きな失敗であり、非常に失望している」と辞任した。
1948年にソ連の支援を受けて樹立したチェコスロバキア共産党の独裁体制は、1989年の東欧革命で崩壊した。
1950年代、チェコの共産党政権は、何万人もの市民を労働キャンプに入れ、後に大統領になった劇作家のヴァーツラフ・ハヴェル氏をはじめとする反体制派を弾圧した。にもかかわらず、共産党は長い間、議会から消えることはなかった。
KSCMは、1989年にチェコスロバキア共産党の後継政党として設立された。共産党の名を残し、マルクス・レーニン主義を堅持する、中東欧では数少ない共産主義政党の一つである。
チェコ共産党の変遷
1989年12月29日、共産主義体制の幕が下り、劇作家のヴァーツラフ・ハヴェル氏はチェコスロバキアの大統領に選出された。
当時、共産党の非合法化が強く求められていたにもかかわらず、ハヴェル氏は行動を起こさなかった。彼は、時間が経てば共産党は政治の場から自然に消えていくと考えていた。1993~2003年の大統領在任中、彼はKSCMの幹部と国政について話し合うことを拒否していた。
第2代、第3代大統領になると、KSCMに対する態度を緩和し、KSCMが政治的影響力を発揮する条件を整えた。
1989年以降、KSCMは高齢者や労働者階級を支持層にしようと取り組んだが、その共産主義イデオロギーは若い世代には響かなかった。2018年、KSCMは実業家出身のアンドレイ・バビシュ首相が率いる政党「不満なる市民の行動(ANO)」や社会民主党と左派連立政権を組み、影響力を取り戻した。
親中政権が下野 連立政権樹立へ
9日の開票結果では、中道右派の3党連合「SPOLU」は27.8%、与党ANOは27.1%の票を獲得した。海賊党など2党連合による「海賊と市長」の得票率は15.6%だった。
地元メディアの報道によると、SPOLUと「海賊と市長」が合わせてチェコ下院の200議席中108議席を獲得し、2つの野党が連立政権を樹立する見通しとなった。与党ANOは政権の座を失うことになるという。
中国メディア「澎湃新聞」は8日、チェコの選挙戦に関する記事の中で、各政党の対中姿勢について、ANOは「親中」、海賊と市長は「親台湾・反中」、SPOLUは「親欧米・親台湾」と紹介した。
(翻訳編集・王君宜)
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