国土交通省は8日、不動産取引の際に、過去に人の死が生じた物件、いわゆる事故物件について、宅地建物取引業者による適切な調査や告知の判断基準となるガイドラインを策定した。
同ガイドラインは、2020年2月から「不動産取引における心理瑕疵に関する検討会」においての議論や裁判例、取引実務、今年5月から6月にかけて実施したパブリックコメント(計218件)を踏まえてまとめたものだ。
調査をめぐり、宅建業者は売主と買主に対して過去に生じた事案の告知を求めることができるとし、ネット調査や聞き込み調査などを業者が自発的に行う義務はないとした。いっぽう、売主と買主は事案を故意に告知しなかった場合、民事上の責任を問われる可能性があるという。
人の死に関する告知については、原則として、取引相手等の判断に重要な影響を及ぼす場合に告げなければならないと定めた。そのほか、取引の対象物件で発生した自然死・転落事故などの不慮の死については、原則として告げなくてもよいとした。
また、買主や借主から事案の有無について問われ、社会的影響の大きさから買主や借主が把握しておくべき特段の事情がある場合、経過期間や死因に関わらず、告知を必要とする。
(蘇文悦)
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