中国当局は、国内で取材活動をする海外メディアへの統制を強めている。貴州省畢節(ひっせつ)市当局によると、地元の貧困問題に関して「負の側面」を取材しようとした海外メディアを通報した幹部が表彰された。中国メディアは報道でこの外国人記者を中傷した。
畢節市党委員会のSNS微信(ウィーチャット)アカウントは9日、同市当局は国家安全に関わる重要な情報を提供した複数の幹部に褒賞を与えたと発表した。そのうちの1人は今年、畢節市で貧困問題に関して「違法に取材し」、中国のイメージダウンを図る「外国の反中メディア」を通報したという。
同発表では、外国メディアの社名を明らかにしなかった。中国政府系メディア「観察者網」は10日の報道で、今年4月、米国の公共ラジオ局であるナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)に派遣された中国系米国人記者のエミリー・フォン(Emily Feng)氏が畢節市の一部の地域で取材を行ったと伝えた。「観察者網」は、フォン記者は地元住民の発言を「歪曲し」「貧困脱却を巡るわが国の取り組みを誹謗中傷した」と批判し、同記者を攻撃した。
「観察者網」は米国のNPRのほかに、ニューヨーク・タイムズ紙、AP通信社、ワシントン・ポスト紙、英国のBBC、フランスのAFP通信社などを名指し、「各社は過去、中国の貧困脱却の成果を中傷する記事を発表した」と主張。
微信では、畢節市の同投稿はすでに削除された。
習近平主席は昨年12月、年内に実現させると公約していた「脱貧困」を達成したと宣言した。しかし、その信ぴょう性に疑問を呈したのは海外メディアだけではない。
中国国営中央テレビ(CCTV)は今年4月24日、陝西省洛南県政府が貧困問題に関してデータをねつ造したと報じた。同県は昨年2月に貧困から脱却したと宣言したという。
李克強首相は昨年5月、「中国では6億人の月収が1000元(約1万7000円)にすぎない」と述べ、中国人口の約半分が貧困層であると示唆した。
(翻訳編集・張哲)
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