日本の処理水をめぐる騒ぎの最中、中国官製メディアは湖南省の貧困扶助用住宅の品質問題について報じた。
中央ラジオ・テレビ総局(中央広電総台)8月28日付は、湖南省婁底市新化県にある貧困扶助用住宅(安置房)の住民から「私たちが住む住宅は、おから工事(ひどい手抜き工事)住宅だ」との苦情が多く寄せられていると報じた。この件をめぐっては「背景に汚職問題があるのではないか」とする疑いが広がっており、世論の圧力で婁底市や新化県の監察委員会は調査に乗り出したと発表している。
中国の「安置房(住宅)」とは立退き対象者への補償のひとつで、一般に相場より安い価格で購入できたり、無償で提供されたりする住宅のこと。
今回問題となっている安置住宅の施工業者は、国有企業の「湖南建工集団」だった。
報道によると、問題となっている安置住宅は12棟で189世帯、808人の住民が暮らしている。しかし、新築から5年足らずで品質問題が頻発する事態になった。すでに2度にわたる大規模修繕を経てもなお品質に原因する問題が続いており、影響は全世帯に及んでいるという。
住民によると、この住宅では外壁脱落のほか、床や屋根のひび割れ、水漏れなどの現象が多くみられるという。なかには、家の中を歩くだけで床全体が揺れるなど、とても人が住むには堪えない状態だ。
ある住民はカメラの前で、ドアをまるで紙でもちぎるかのように、素手でちぎって見せた。安全面への懸念から、住むことをあきらめて引っ越していった住民も多いという。
このような欠陥住宅に住むことになった劉さんは、「住宅の品質問題を皆で陳情をして、ようやく少しずつ住宅を修繕してもらったが、結局は自分たちで直したほうが早かった。政府のやることは本当に遅い」と苛立ちを隠せない様子だった。
2021年2月、習近平政権は「全国12万8000の村が貧困から抜け出した」として「脱貧困の達成」を宣言した。しかし、本当に脱貧困を達成したのかということについては、疑問の声が広がっている。
習主席の「脱貧困の達成」宣言から2カ月も経たない2021年4月23日、国営中央テレビ(CCTV)は陝西省商洛市洛南県の貧困撲滅は「嘘だった」と報じ、関連話題はSNSのホットリサーチ入りしている。後に陝西省当局は世論の鎮静化に躍起になり、この問題は「解決した」と発表している。
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