軍事用途のAI技術に投資するインド太平洋の同盟国

2021/11/16 更新: 2021/11/16

インド太平洋地域の同盟国はセキュリティを強化し中国がデジタル領域を支配しようとする試みに対抗するため、人工知能(AI)を含むデジタルテクノロジーを使用したより緊密な協力に向けて動いている。 

米国がこの地域でのAI協力を促進する動きは、日本、韓国、米国が関与する三国間デジタル貿易協定の話と同様にこの傾向を示している。

 2021年7月にロイド・オースティン(Lloyd Austin)米国防長官の発表によると、米国は「勝利に向けて戦う」ために今後5年間で約1500億円相当(15億米ドル)をAIの研究開発に費やす予定である。 オースティン国防長官のコメントは、2021年5月に米国政府と韓国政府が「AI育成プログラムを通じて重要な新興技術の共同研究開発を奨励する」ことを誓約したことに続くものである。

その後、クワッドと呼ばれるグループ(オーストラリア、インド、日本、米国)は9月に「標準策定活動と基礎的な事前標準化研究に焦点を当てた」先進的なコミュニケーションとAIに関するコンタクトグループを設立することに合意した。

 米国に拠点を置くウィルソン・センター(Wilson Center)が2021年9月に主催した「インド太平洋地域のAIと同盟国:共有セキュリティと防衛の強化」と題したイベントで現代自動車-韓国財団韓国歴史・公共政策センター(Hyundai Motor – Korea Foundation Center for Korea History and Public Policy)の事務局長代行であるエイブラハム・デンマーク(Abraham Denmark)氏は、「日本、オーストラリア、韓国、シンガポール、インドは、誰がこの問題に取り組み統合するかという点で最初に出てきた国です」と述べている。

 デンマーク氏は中国および「同国の軍事産業と防衛産業に多額の投資を行い、市場原理ではなく国益に牽引される形でそれを推進する能力」がもたらす脅威を強調した。さらに彼は多国間協力を通じて中国に対抗する取り組みは、政治的および官僚的な障壁によって挫折する可能性があると指摘している。

 NIKKEI Asia誌によると、米国はインド太平洋地域の同盟国との間でのデジタル情報の自由なやり取りを確保するための地域デジタル貿易協定のイニシアチブを支援している。このイニシアチブの目的は国境を超えるデータの転送やプライバシーの保護、AIの使用などを含む議題をカバーするデジタル業界規則の作成である。

この合意はイノベーションによりさらに多くのデータやコンテンツが共有されるようになるにつれて、企業がよりスムーズに機能することを可能にするデジタル活動領域の基盤を築くことになる。 

米国のウェイン州立大学(Wayne State University)の国際関係の専門家であるサイード・カーン(Saeed Khan)氏はウィルソン・センターの聴衆に「データ、そのアルゴリズム、アプリケーションやハードウェアを開発し効果的に使用する能力、およびそれらを展開する能力は、その領域での合同した取り組みにより効果的に取り扱われます。そうすることで、人工知能の背後にある才能と人材が織りなすパズルの最も重要な側面でより良い結果にもつながる可能性が高くなります」と述べている。

 デンマーク氏は米国のAI防衛アプリケーションへの関心の高まりは、インド太平洋における米国の同盟国に歓迎され、その多くは同等の技術に取り組んでいると述べた。世界で使われている大容量の最先端集積回路の約90%は東アジアで生産されている。その結果、インド太平洋地域の同盟国はそのような技術の重要な消費者であるだけでなく、将来の開発を推進する可能性が高い。   画像提供:ISTOCK

Indo-Pacific Defence Forum