3カ月後に迫る北京冬季オリンピックをめぐり、中国の人権問題に抗議するため、ボイコットを求める声が高まっている。19カ国の100人以上の国会議員を含む国際的な超党派の議会連盟である「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」は、北京での五輪開催を中止させるよう求めている。
バイデン米大統領も人権問題を背景に、北京冬季五輪の外交的ボイコットを「検討している」と明らかにした。ラーブ前英外相も7月、ニュース専門局の「スカイ・ニュース」に対して、自分が出席する可能性は「低い」と述べている。
数人のIPACに所属する議員もこのほど、北京五輪に対するボイコットをよびかけている。それぞれは「No Rights No Show」(人権なければ開催なし)などのメッセージボードを掲げ、各地の国会議事堂前に立ち国際的なメッセージを強調した。
IPACは6月7日の声明で、国の代表や政治指導者に対して、2022年北京冬季五輪を辞退するよう呼びかけた。自国民に人道犯罪を犯す国で開催することは大会の理念に矛盾していると指摘し、北京五輪の参加は中共政府の抑圧的な政策を正当化する危険性があると懸念を表明した。
米、「外交的なボイコット」を検討=報道
米紙ワシントン・ポストは19日、バイデン米大統領は北京冬季五輪に政府関係者を参加させない外交的な「ボイコット」を検討していると報じた。
ホワイトハウスのサキ報道官は18日の記者会見で、「米国は新疆における人権侵害を深く懸念している」とし、「北京五輪への参加は現時点で言えることがない。大統領の判断に任せたい」との考えを示した。
バイデン米大統領が北京冬季五輪での「外交ボイコット」検討を明言したことを受け、岸田文雄首相は19日、「それぞれの国において立場があり、考えがある。日本は日本の立場で、物事を考えていきたい」と記者団に対して述べた。
五輪を政治利用する中共
北京で五輪を開催することへの懸念は、深刻な人権侵害に由来している。これらの問題は長年にわたって続いており、それにより、2000年に中国がシドニーに開催権を失った。
世界の200個キャンペーングループの連合体は、9月の発表で「ウイグル人、カザフ人、ウズベク人を含む少なくとも200万人のイスラム教徒が『再教育キャンプ』に閉じ込められている」ことを指摘し、チベットや香港の状況に対して懸念を示した。
ニューヨーク市に本部を置く人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)によると、中国政府は五輪を利用して「自分たちによる人権侵害を隠し、世界がそれを認めているかのように見せかけている」と非難した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。