岸信夫防衛相は23日、中露軍機の計4機が日本海から太平洋にかけて共同飛行したことについて「わが国に対する示威行動を意図したもの」との見方を示し、重大な懸念であると表明した。同日開催されたベトナム防衛相との会談でも本件を取り上げ、「大きな安全保障問題」として共有した。
防衛省によると、飛来したのは中国軍のH-6爆撃機2機とロシア軍のTU(ツポレフ)-95爆撃機2機。計4機の爆撃機は日本海から南下して対馬と壱岐の間を通過し宮古海峡を往来、尖閣諸島周辺や台湾の北側を飛行した。
中露の爆撃機は日本の領空を侵犯しなかったものの、防空識別圏に入ったため航空自衛隊の戦闘機が緊急発進し対応を行った。
岸防衛相は来日したベトナムのザン国防相との会談のなかで、日本周辺における中露の示威活動について提起し、「大きな安全保障問題」として共有したことを明らかにした。
中露の軍機が共同飛行を行ったことに対し、韓国が遺憾の意を表した。19日、中国軍の爆撃機2機とロシア軍の爆撃機及び戦闘機等7機は韓国周辺空域で共同飛行を行った。その際、韓国の防衛識別圏(KADIZ)に入ったため、韓国空軍は戦闘機を緊急発進させた。
共同飛行について、中国国防部は「戦略的協力と共同作戦能力の水準を高める」ことが目的であり、パトロールだと説明している。
中露の空軍機による共同飛行は2020年12月以来初となる。
中国とロシアは10月にも日本海で年次の合同演習「海上連携2021」を実施したのち、対馬海峡、伊豆諸島、大島海峡を通過して東シナ海に出る長距離の共同航海を行なった。防衛省は「かつてない特異な行動」と表現した。
これらの動きに対し岸防衛相は23日、「これら一連の軍事演習は、我が国に対する示威行動を意図したもので重大な懸念」であるとの考えを明らかにした。
佐藤正久参議院議員は24日、中露爆撃機による共同パトロールは「日本海上ではなく、初めて陸上の中国北東部の中露国境で合流」して行われたものであると指摘、「示威行動のレベルが更に上がる兆し」だと警戒感を表した。
ますます活発になる中露の共同活動について、米国防総省の元当局者でシンガポール国立大学リークアンユー公共政策大学院客員研究員のドリュー・トンプソン氏はCNNのインタビューで「日本にとって中国は潜在的な脅威であり、防衛費増額と即応態勢の強化という結論を強化するだろう」と述べた。
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