防衛省統合幕僚監部は令和8年(2026年)2月16日、ロシア軍のIL-20情報収集機1機が日本海周辺での飛行を行ったと発表した。同機種による日本周辺での活動は、わずか数日前の2月11日にも確認されており、自衛隊が警戒を強めている。
相次ぐ飛行と空自の対応
統合幕僚監部の発表によれば、2月16日の事案では、IL-20が午前から午後にかけて大陸方面から飛来し、日本海を南下して島根県沖まで到達した後、反転して大陸方面へ戻るルートをとった。これに対し、航空自衛隊は北部航空方面隊などの戦闘機を緊急発進(スクランブル)させ、対応にあたった。

これに先立つ2月12日の発表(11日実施)でも、同型のIL-20情報収集機1機の飛行が確認されている。この際のルートは今回とは異なり、大陸からオホーツク海を経由して太平洋側へ進出。岩手県沖まで南下したところで反転し、再びオホーツク海を経由して日本海へと抜けるという、北海道および本州北部の太平洋側を舐めるような長距離飛行であった。

わずか1週間のうちに、太平洋側(岩手沖まで)と日本海側(島根沖まで)の双方で、情報収集機による長距離飛行が実施されたことになる。
短期間に日本列島の表裏両面で同様の機種が確認されたことは、ロシア軍による対日情報収集活動が活発化していることを示唆している。
今回確認されたIL-20は、電子情報や通信情報の収集を任務とする機体である。11日には太平洋側から北日本を、16日には日本海側から西日本方面までをカバーする飛行を行っており、日本の防空レーダーの配置や反応、通信状況などを多角的に探る意図があったと推察される。特に、岩手沖および島根沖という、本州の中部以南に近い空域まで進出しての折り返し行動は、広範囲なデータを収集するための計画的な運用であると考えられる。
今回の一連の飛行では領空侵犯こそ発生していないものの、ロシア軍が日本周辺海域におけるプレゼンスを誇示し、自衛隊の即応体制を試すような動きを見せている点は看過できない。
今後も、季節や国際情勢の節目に合わせ、情報収集機による偵察活動や爆撃機による長距離飛行などの示威行動が繰り返される可能性が高い。防衛省・自衛隊は、太平洋・日本海の両面における警戒監視体制を維持しつつ、今回のように写真や詳細なルートを公表することで、ロシア側の行動を牽制し続けることになるだろう。
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