台湾の蔡英文総統は29日、台北の総統府でバルト3国の議員団と会談した。武力侵攻をちらつかせる中国共産党などを念頭に、権威主義の拡張と偽情報の脅威に対抗すべく連携を強化し、自由と民主主義を守るよう呼びかけた。
バルト海に面するリトアニア、ラトビア、エストニアの3国が合同議員団を結成して台湾訪問するのは今回が初めて。
蔡英文氏は、旧ソ連の共産主義体制下で独立を果たし民主化したバルト3国の歴史に触れ「いま世界は権威主義の拡張と偽情報の脅威に直面している。台湾は偽情報に対抗する経験を欧州の友好国と共有し、共通の価値観を守り、民主的で自由な生活方式を確実に守っていきたい」と述べた。
中国共産党の妨害に遭うなか、台湾に新型コロナウイルスワクチンを提供し、首都に台湾代表処の開設を認めたリトアニアに対し、蔡英文氏は感謝の意を表明した。
リトアニアのマタス・マルデイキス議員は「台湾は複雑な地政学的環境の中でうまくバランスを取ると同時に、経済を発展させ民主主義を強化した。私たち議員団は台湾との団結を示すために来た」と応じた。
リトアニア政府の台湾政策について、マルデイキス氏は国民の幅広い支持が得られていると指摘した。「自由と、ルールに基づく国際秩序を守ることは、双方によって重要な利益だ。台湾との関係を強化し、協力してこの目標を達成したい」と語った。
台湾総統府によると、リトアニアには11月、台湾との外交実務を行う代表事務所が開設されたが、来年初めにも台湾にリトアニア代表事務所が設立される予定だという。
台湾の呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)は同日、議員団との宴会に出席し「台湾とバルト3国は自由や民主主義、人権の価値観を共有するパートナーであり、専制政府による脅威にさらされている」と述べた。そして、ともに強靭な民主主義体制を構築する考えを示した。
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