「イカゲーム」密輸した男に死刑判決 北朝鮮当局、海外ドラマの締め付け強化

2021/12/01 更新: 2021/12/01

映像配信大手ネットフリックスの大ヒットドラマシリーズ「イカゲーム」の海賊版を北朝鮮国内に密輸入し、販売したとして、北朝鮮の男性が死刑判決を受けた。海賊版を購入した高校生が教室内で視聴していることがわかり、この男性の逮捕に至ったという。

ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、男性は中国から北朝鮮に「イカゲーム」の海賊版を持ち込み、USBメモリなどを使って北朝鮮国内で販売していたとされる。情報筋によると、男性は銃殺刑に処されるという。また、USBメモリを購入した学生が終身刑の判決を受けたほか、番組を視聴した6人に5年の重労働を言い渡された。生徒が通っていた学校の校長や一部の教師は解雇され、地方に追放されるなどの処分が下される見通しだ。

匿名希望の男性はRFAに対し「すべては高校生が韓国ドラマ『イカゲーム』の入ったUSBメモリを密かに購入し、クラスで親友と一緒に見たことから始まった」と語った。他の生徒にも広まり、ビデオ検閲を専門とする北朝鮮の監視部隊の耳に入ったことが逮捕のきっかけになったという。

北朝鮮のプロパガンダサイトは先月、この番組が「腐敗と不道徳な悪人がありふれる韓国の資本主義文化」と「貧乏人が金持ちのチェスの駒のように扱われる不平等社会」の現実を描いていると述べていた。

反動思想・文化排撃法

北朝鮮は昨年「反動思想・文化排撃法」を採択し、韓国など国外からのドラマや書籍を輸入することを禁止した。RFAによれば、金正恩総書記は資本主義国家のコンテンツの拡散を防止し、自国のエンターテイメントの向上を期待している。同法違反者は死刑に処せられる可能性があるという。

今回の逮捕は、政府が新法を未成年者に適用した初めてのケースとなった。住民がRFAに語ったところによれば、北朝鮮当局は海外メディア・コンテンツが入ったメモリー機器などの排除や逮捕された7人の徹底捜査に乗り出しているという。

「住民は皆、恐怖に怯えている…」。ある住民は声を震わせた。「密輸業者とビデオを見た学生だけではなく、事件とは関係のない人々まで責任を問われ、容赦なく罰せられるからだ」。

米国をはじめ国際関係担当。
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