米大統領主催の「民主主義サミット」が9日と10日の2日間、オンライン形式で開催される。サミットには世界から民主主義の理念を共有する110以上の政府や活動家、民間企業のリーダーらが参加する。中露に代表される権威主義政権が民主主義制度を圧迫するなどの課題について協議し、連携を強める。
サミットでは3つのテーマが柱となり、それぞれ権威主義体制に対する民主主義の防衛、汚職の撲滅、そして人権尊重の推進だ。サミットには中国共産党の威圧にさらされてきた関係者も登壇する。台湾閣僚級高官ほか、ドイツ拠点の香港人活動家、米拠点のウイグル人権活動家が招待されている。
ホワイトハウスによると、人権侵害に悪用されかねない軍民両用可能な技術(デュアルユース)の漏洩を防ぐ輸出規制の枠組み形成についても議論される。
8日には、米政府科学技術局が懸賞金付きの「民主主義を支持する技術」に関する公募を発表した。プライバシー向上技術や権威主義体制による検閲回避システムなど、透明性や自由度に関する技術が応募対象となる。
サミットに先立ち、6日には米国初となる「汚職対策戦略」が発表された。政府高官は汚職や組織犯罪、人権侵害などに関与した外国政府高官らを制裁対象に指定する方針を示した。
民主主義サミットについて中露は反発している。両国の駐米大使は論文を執筆し、バイデン政権について、「冷戦的思想」に基づいて「イデオロギーの対立と世界の亀裂を煽っている」と批判した。中国共産党はサミット開催前の2日に中国民主白書を発表、中国共産党式の民主を鼓吹し言葉の再定義を図ろうとした。
サミットには各国の首相高官や活動家が登壇する。ベネズエラのフアン・グアイド暫定大統領による「腐敗防止と対策」に関する講演や、ドイツ拠点の香港民主活動家で雨傘運動を率いた羅冠聡(ネイサン・ロー)氏の「民主主義の強化と権威主義からの防衛」のほか、兄の釈放を訴え続けるウイグル人の人権弁護士Rayhan E. Asat氏、台湾の唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当大臣らがパネルディスカッションに参加する。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。