米、中国42団体に制裁 「脳を制御する兵器」の開発支援企業など

2021/12/17 更新: 2021/12/17

米政府は16日、中国人民解放軍の軍事開発や人権侵害に関与しているとして、ドローン大手のDJIなど42社・団体を新たに制裁対象に指定した。対象企業への投資を禁じるほか、事実上の禁輸措置を発動する。

商務省は中国の兵器開発などに関与しているとして、34団体を17日付けで輸出管理対象とする「エンティティーリスト」に追加する。中国の研究所「軍事医療科学アカデミー」とその傘下11機関が含まれており、「脳を制御する兵器」などバイオテクノロジー開発で人民解放軍を支援していると指摘した。

また、人民解放軍の近代化支援に向け米国から技術を取得したとして、海底ケーブル大手・華海通信技術(HMNテクノロジーズ)やその親会社である江蘇亨通光電など数社も禁輸措置の対象に加える。今後米国の技術を輸出する場合は、米国政府の許可が必要となる。

レモンド商務長官は声明で、「中国はバイオテクノロジーを使って国民を支配し、民族や宗教の少数派を弾圧しようとしている」と批判。「医学とバイオテクノロジーの革新を支える米国の商品や技術、ソフトウエアが国家安全保障に反する用途で使われることを容認しない」と強調した。

財務省は同日、顔認証などの監視技術を使ってウイグル人などの弾圧に加担しているとして、ドローン世界最大手DJIほか、AI技術開発の雲従科技やスーパーコンピューター大手の曙光信息産業、情報セキュリティ-技術開発の厦門市美亜柏信息など8社を投資禁止対象に加えた。

財務省によると、広州に拠点を置く雲従科技は、チベット人やウイグル人などを追跡したり、集まりを当局に通知する顔認識ソフトウェアを開発。同社はジンバブエ政府と大規模な監視ネットワークを同国に構築する契約を結んでおり、ネットワークから取得する顔画像を通して皮膚色素を認識する技術の向上を図っているという。

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)報告書によれば、福建省に拠点を置く厦門市美亜柏信息は、住民の携帯電話から画像、位置情報、音声、メッセージを抜き出すアプリを開発している。中国当局は2018年、新疆ウイグル自治区の住民に同社の監視ソフトをパソコンにインストールするよう命じている。

また、厦門市美亜柏信息が国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)にトレーニングを提供していたことや、ロシア軍にモバイルハッキングギアを販売していたことも判明している。

禁輸措置の対象となった華海通信技術は、世界銀行主導の南太平洋の島しょ国を結ぶ海底ケーブル事業に入札したが、日米豪が安全保障上の懸念を表明し入札が無効となった経緯がある。

2018年に大紀元が入手したリーク文書によると、中国共産党が海底ケーブルからの通信を傍受している可能性があることが判明。アジア太平洋地域のネットワークを介して転送されるすべての電話やネットデータへのリスクが懸念されている。

米国をはじめ国際関係担当。