セルビアでは11月、中国のタイヤメーカー、玲瓏タイヤの現地工場で、ベトナム人従業員数百人が、劣悪な労働環境などに抗議して大規模なデモ活動を行った。欧州議会は16日、セルビア政府に対して、中国の現地企業によるベトナム人従業員に対する強制労働や人権侵害があるか調査し、報告するよう求める決議案を可決した。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)20日付によると、欧州議会のファビオ・マッシモ・カスタルド副議長は16日の議会会議で、セルビアにある玲瓏タイヤの工場で働くベトナム人従業員について、「冬に暖房器具を使えず、十分な(防寒)服もない。ベトナムに帰国しようとしてもできない。なぜなら、彼らの(パスポートなどの)証明書は没収された」と述べ、従業員らの権利が侵害されていると批判した。
トミスラフ・ソコル議員は、ベトナム人従業員は不衛生な環境の中で働いており、一部は不法就労していると指摘し、玲瓏タイヤは従業員らを虐待し、人身売買を行った疑いもあるとした。
RFAによれば、11月に約500人のベトナム人従業員が抗議デモを行い、玲瓏タイヤに騙されてセルビアの工場に来たと訴えた。抗議デモは同国のメディアにも大きく報道された。
欧州議会では16日、玲瓏タイヤによる強制労働を調査するようセルビア政府に求める決議案は、賛成586票、反対53票で可決された。決議案は、セルビア政府に対して「この事案を慎重に調査し、工場側に基本的な人権尊重を確保させるよう」呼びかけた。
セルビアは現在、欧州連合(EU)への加盟に関して、EUと交渉している。しかし、欧州議会の議員は、中国当局によるセルビアへの投資拡大を懸念している。議員らは、セルビア政府は中国企業に対して法律上の特権を与えていると指摘した。これらの特権は労働法などを含むEUの法律に違反しているという。
欧州議会のナタリー・ロワゾー議員は、セルビアで「銅山を採掘している中国(企業)は、環境保護を無視しているだけでなく、地元住民の尊厳も無視している」と非難した。
(翻訳編集・張哲)
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