国家安全保障上の懸念から米国政府に締め出されている中国国有企業、同方威視(Nuctech、ニュークテック)社は欧州諸国で市場を拡大している。EU全27カ国のうち26カ国が同社製の保安検査設備を導入した。AP通信が報じた。
米政府は同社の複雑な株主構成とグローバルな展開を問題視し、中国軍や共産党指導部と不透明な関係を保っていると判断した。
胡錦濤・前国家主席の長男は長年にわたってニュークテック社の経営に携わってきた。AP通信によると、同社は中国政府のバックアップを受けており、 米国防総省が中国軍事企業と認定した「中国核工業集団」は、同社の筆頭株主である同方公司(持株比率71%)の筆頭株主である。
AP通信によると、同社のセキュリティ検査用スキャナー装置は、ダボスで開催される毎年恒例の世界経済フォーラム、ヨーロッパ最大の港と一部の空港、NATOとロシアとの国境などに設置されている。
ロンドン、アムステルダム、ブリュッセル、アテネ、フィレンツェ、ベニス、ジュネーブの各空港や、スペイン国内の10以上の空港は、同社の同類設備を導入する予定だという。
欧米諸国の安全保障当局者や政権関係者の間では、この機器が悪用されると、重要な中継施設が混乱し、政府・企業・個人の情報への不正アクセスが可能になるという懸念が高まっている。
欧州議会議員で、オランダ国防省サイバーセキュリティ部門の元幹部バート・グルートハイス氏は、「地政学的・戦略的敵国が我々の個人情報、軍事情報、貨物データ、産業機密など非常に機密性の高いデータを掌握していいのか」と危惧した。
同氏を含む専門家は、ヨーロッパにこのような潜在的脅威に対抗し監視するシステムがないことに危機感を示した。
同社製品は、日本の空港にも一部導入されているとみられる。
(翻訳編集・叶子静)
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