中国・河北省の少年、劉学洲さん(17)は実親によって2度も捨てられ、絶望の末に、24日に三亜(海南省)の海辺で服毒自殺した。ニュースはSNS上で拡散され、世論の同情を呼んだ。
少年の7千字に及ぶ遺書によって、その短い人生の中で経験したさまざまな苦しみが明らかになった。
実父母は結婚時の結納金の返済のため、生後まもない少年を数万円で人身売買業者に売り渡した。
4歳の時、養父母は事故で死亡した。その後、祖母の家で数年間生活したという。
「もらい子」であることが原因で、小学校でいじめを受けた。中学に上がると、男性教師からわいせつ行為をされたという。
昨年末、少年は警察の協力でようやく実父母との再会を果たした。しかし、それぞれすでに再婚した両親は誰も少年を受け入れようとしなかった。実母は少年を「恩知らず」などと罵倒したあげく、少年のSNSウィーチャット(微信)をブロックした。
傷ついた少年は両親のやり方をネット上で訴えた。しかし、メディアは実父母の一方的な主張に基づいて偏向報道したため、ネット上での誹謗中傷が止まらなくなった。
「僕の限界を超えた」。ネット上での暴力は、少年を死に追いやった最後の一撃となった。
少年の経歴はまるで映画『レ・ミゼラブル(2012年)=日本語訳:悲惨な人々』の再現だと指摘する人もいる。
「少年が両親によって売られた時、警察は欠席した。学校でいじめられた時、それを止める教育機関は保護機能を欠いた。メディアが一方的な報道をした時、SNS上でネット暴力が起きた時、人々はモラルを欠いた」
「これら一連の欠席が、少年の自殺という悲劇を引き起こした」との指摘が出ている。
アメリカで幸せを掴んだ「捨て子」
劉さんの早すぎる死を悼む声がネット上で広がる中、同じく実父母に遺棄された米スキー選手のカイ・オーエンズ(Kai Owens・17歳・女性)さんのニュースが注目されている。
カイさんは17年前、中国・安徽省で親によって政府庁舎前に遺棄され、孤児院を経て米国の夫婦と養子縁組を組んだ。今回の北京冬季五輪への参加を機に、実父母を探したいと考えている。
カイさんの実親探しの願望に対して、中国のネットユーザーらは「養父母を大切にしなさい、実父母など探すべきではない」
「自分を捨てた人を見つけることは、より大きな悩みにつながりかねないと、劉学州さんの例が教えてくれた」などとアドバイスしている。
(翻訳編集・李凌)
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