リトアニアのランズベルギス外相は26日、中国からの反発を受けて首都ビリニュスに新設した台湾代表処の名称変更を検討しているとの報道について否定した。台湾側も名称変更の届出はないとしている。
ロイター通信や英フィナンシャル・タイムズ(FT)は25日までに、台湾との関係を深化させたことで中国による経済的報復を被るリトアニアは、台湾代表処の名称変更を検討していると報じた。
ランズベルギス氏は26日の記者会見で、昨年11月に開設した台湾代表処の名称変更計画はないと述べた。ナウセーダ大統領と会談した同氏は、外交政策や中国の経済的な圧迫による貿易課題、中国に対抗するためのEUのコンセンサスと支持を構築する方法について意見を交わした。この会議で名称変更の話は出ていないという。
中央社によると、リトアニアの外交関係者3人もロイターの報道内容を否定した。駐リトアニア台湾代表の黃鈞耀氏も、リトアニアから事務所の名称変更に関する問い合わせや要請は受けていないと答えた。
台湾とリトアニアの関係深化は進む。11日には双方の経済閣僚会談で台湾が近い将来に両国共同事業プロジェクトに10億ドルの融資基金を設立すると表明した。今回の会談前の5日にも、黃代表がリトアニア産業への投資に2億ドル規模の「中東欧投資基金」設立を発表したばかり。
リトアニアに対する報復で中国はトリアニア駐在の代表を「代理公使」に格下げし、同国から輸入した貨物コンテナ120個あまりを通関で止めた。中央社によると、多国籍企業にリトアニアとの商取引を引き取らなければ中国市場から排除すると迫ったという。
こうした強圧的な貿易慣行について、欧州委員会はた中国を世界貿易機関(WTO)に提訴すると27日に発表。リトアニアなど加盟国に対する圧迫は「EU域内の貿易やサプライチェーンに影響を与え、EU産業に悪影響を及ぼし、市場の健全性を脅かす」とバルディス・ドムブロフスキス欧州委上級副委員長(通商担当)は非難した。
欧州委員会は昨年12月にも、域外国によるEUに対する「経済的威圧」への対抗措置の実施を可能にする反威圧手段規則案を発表した。同規則案は、域外国が貿易や投資に制限を課すことで、EUと加盟国に対して圧力をかける事例に対応できる権限を欧州委に付与するという。
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