「中国にメダルを全部あげる」韓国紙、怒り爆発 相次ぐ不公平な判定で

2022/02/14 更新: 2022/02/14

北京冬季五輪で相次ぐ中国に有利な判定が行われ、韓国の対中感情は急速に悪化した。

4日の開会式では、韓国の国民感情を逆なでする一幕があった。韓国の伝統衣装である「韓服」を着用した中国少数民族の朝鮮族の登場をめぐり、韓国では「韓服は韓国固有の文化だ」として不満の声が上がった。

7日に行われたスピードスケート男子の準決勝戦でも、1位と2位でゴールした韓国の世界記録保持者の選手らが「失格」と判定された。この結果、中国選手が決勝に進出した。

試合後、「裁定の不公平」を訴えた韓国選手団は審判委員長に猛抗議した。また、国際スケート連盟(ISU)や国際オリンピック委員会(IOC)に抗議文を送り、国際スポーツ仲裁裁判所(CAS)にも提訴する方針を示した。

中国メディアは「韓国が決勝に出られない」ことを皮肉たっぷりに報じた。また、中国版ツイッターのウェイボー(微博)では「この審判は使える」のハッシュタグが拡散されている。

いっぽうの韓国側でも、試合を見た韓国スポーツ界の有名選手らが相次ぎSNSに不満を投稿するなど、判定をめぐり国民感情が沸き立った。

元バレーボール女子韓国代表の金軟景(キム・ヨンギョン)氏は、「また失格か?!ふざけるな!」と怒りをあらわにした。

「韓国の五輪女王」と呼ばれる東京五輪のアーチェリー女子で金メダル3個を獲得した安山(アンサン)選手も、「無念」を表明するメッセージを投稿した。

2009年の世界ショートトラック選手権の金メダリストである米国のライアン・ベッドフォード氏は、「ISUと中国が結託した。今回の判定はゾっとする」などとツイートした。

韓国主要各紙も「史上最悪の五輪」「習近平の業績作り」などと、そろって中国非難を展開している。

韓国政府が最大株主の「ソウル新聞」は、「いっそのこと、中国にメダルを全部渡せばいいだろう」と題する記事を掲載した。記事本文はタイトルのこのフレーズを10回も繰り返すなど怒りを爆発させている。

同記事はのちに削除された。

韓国の放送局SBSは、今大会でこれまでに中国選手が行った他国選手を妨害した疑いのあるシーンをまとめた「中国のカンニング、最悪の時刻トップ10」と題するショート動画を制作した。

今大会の審判の不公平に加え、中国が韓国から優秀なスピードスケートのコーチを引き抜いていることを指摘する声も上がっている。「韓国のスピードスケートのDNAを移植したから金メダルを獲得できた」と不満の声があがっている。

韓国紙「中央日報」は、大学生が主に利用するサイトで「中国(中共)滅亡」という投稿に数百の「いいね」がついていることから、若者の対中感情の悪化を指摘した。

同紙が昨年末に行った世論調査では、成人1000人以上のうち、20〜39歳の韓国人の6割以上が中国に反感を抱いていることがわかった。

近年、中国は「キムチの起源は中国にある」と主張している。今大会の開会式で韓服が使われ、「中国は韓国文化を占有しようとしている」と韓国世論は考えていると同紙は指摘した。

韓国の有力紙「朝鮮日報」によると、一部のネットユーザーは、「韓国ショートトラックの皇帝」の異名を持つアン・ヒョンス氏に非難の矛先を向けている。「裏切り者」呼ばわりされたヒョンス氏は韓国国籍を放棄して、ロシアの国籍を取得し、現在は中国チームの技術コーチを務めている。

(翻訳編集・李凌)