ノルウェーは11日、2022年度の脅威とリスクに関する評価報告書を発表した。中国とロシアがノルウェーにとって最大の脅威と言明し、両国は西側諸国の結束を崩させて、中国共産党は国際リーダーを目指していると指摘した。
ノルウェー情報局(NIS)、警察保安局(PST)、国家安全保障局(NSM)は共同で評価報告書を作成した。
オッド・ローゲル・エノクセン国防相は報告書の公表にあたり、中ロが国際的な安全保障の枠組みを変えようとしていると懸念を示した。両国は西側諸国の結束を崩し、優位に立とうとしていると指摘し、「我々(西側諸国)はより困難で厳しい課題に直面していることを認めざるを得ない」と危機感をあらわにした。
同報告書は中国やロシアの諜報活動に言及した。外国の情報機関が率いる干渉活動は、国家の危機対応能力や、ビジネスおよび産業の競争力を低下させ、国民の安全を脅かし、最終的には政治に重大な影響を与え、民主主義を弱体化させる可能性があると述べた。
中国の情報機関は中国企業、学術機関、個人などを支配下におき、海外で各分野のスパイ活動を繰り広げていると強調した。
報告書は、中国政府の目標は、技術の分野で欧米から独立し、人工知能や量子技術などの新興技術で優位に立つことと指摘した。
報告書は「経済成長と軍事的近代化が中国政府の自信を高めた」と分析した。世界のパワーバランスの変化が中国に有利で、米国の優位性が低下しているという認識が中国共産党内で広がり、党指導部は国際的なリーダーになろうとしていると述べた。
報告書は、中国政府は国の目標実現のために、軍事、経済、諜報活動、貿易、技術、各分野の影響力など、すべての国家資源を投入していると指摘した。
その一方的なやり方は、他国との緊張を高めている。だが、中ロ両国とも、西側社会の価値観や同盟政策に挑戦するのが目的であるため、やり方を改めようとしない。欧米諸国の結束が弱まれば、両国はより強硬な姿勢をとる、と報告書は予想した。
台湾問題については、21年に中国が台湾に対する軍事圧力を強めているが今後も続くという。その目的は中国の勢力圏を徐々に拡大し、地域における米国の影響力を弱めることだとしている。
報告書は、中国は今、西側諸国の政治に介入する野心と能力を持ち合わせていると懸念を示した。中国政府は経済・貿易の優位性を利用して、外国政府、企業、個人に中国批判を控えるよう強要しており、何万もの偽のソーシャルメディアアカウントを運営しプロパガンダや世論操作を繰り広げているという。
(翻訳編集・叶子静)
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