日本外務省は17日、中国上海市で昨年12月、50代の日本人男性が中国当局に拘束されたことを明らかにした。拘束は今も続いており、具体的な拘束理由は不明だが、「スパイ行為に関与した」疑いが持たれているとみられる。
中国では、2014年に反スパイ法を施行して以来、日本人を含む外国人を同容疑で拘束するケースが相次いでいる。
外務省の統計によると、昨年12月に逮捕された男性以外にも、中国当局に逮捕された日本人はほかに少なくとも15人いる。うち8人は釈放あるいは刑期終了後に日本に帰国した。
産経新聞社台北支局の矢板明夫支局長はラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューで、「ほとんどの人が一般人で、スパイではない」と指摘した。
逮捕された日本人の中には会社員、学者、日中友好団体の代表などが含まれているという。
同氏は自身のFacebookで、逮捕者に知人がいると言及した。
今月、中国での服役中に病死した76歳の日本人男性は「日中友好」のために奔走していた人物と明かした。
男性は15年に「スパイ容疑」で北京で逮捕され、懲役12年の実刑判決を受けた。かつて航空会社に勤務していた男性は、複数の日中間の航空路の開設に尽力するなどして中国に貢献してきたという。
定年退職後、男性は日中技術者交流の団体を立ち上げ、日本の退職技術者を中国に招き、技術の伝授を行った。しかし、男性と親交のあった中国側の幹部のほとんどが温家宝(前首相)派だったため、習近平氏と温氏の政治闘争に巻き込まれ、男性は脱税容疑で逮捕された。のちに「スパイ容疑」に変わった。
「(ファーウェイの)孟晚舟事件でカナダ人2人を逮捕した時のように、逮捕した外国人を外交交渉の切り札として使えると中国は知っている」と矢板氏は指摘した。
(翻訳編集・李凌)
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