ロシアによるウクライナ侵攻により各国政府や企業がロシア事業を見直すのに伴い、世界は「中国からの著しいシフト」を開始する可能性があると、経済アナリストのクリストファー・ボルディング氏は指摘する。
世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は24日、ロシアのウクライナ侵攻によりグローバル化は終わりを迎えたとの見方を示した。新型コロナによるサプライチェーン途絶はさらに深刻さを増し、他国への依存関係の見直しを政府や企業は始めていると指摘した。
この発言を受け、ボルディング氏は見直しの対象地域は「明らかに中国だ」と大紀元の姉妹メディア新唐人テレビ(NTD)のインタビューに語った。同氏は英外交シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン協会」の上級研究員を務め、中国経済とテクノロジーを専門とする。
「中国(共産党)による新疆ウイグル自治区での人権侵害や台湾への海上封鎖の可能性について、人々は頭の片隅で考えているはずだ。その他にもあらゆるシナリオを思い浮かべているだろう」
「そして、中国におけるサプライチェーンや大学との契約が影響を受けるのではないかと懸念している。またロシア支援を続ける中国にも不信感を抱いている。だから、中国との事業を見直すことは、世界の政治と経済における大規模なシフトを意味することになる」と述べた。
2019年に中国から発生した新型コロナウイルスの世界的な大流行により、医薬品から重要な鉱物や医療機器の供給において世界的な「中国依存」が顕在化した。
また、新疆ウイグル自治区や香港などにおける中国共産党の弾圧行為は人権活動家のみならず米政府の怒りを買い、国際企業の中国離れに一層拍車をかけている。
リック・スコット米上院議員は17日、ウクライナ侵攻を受け企業がロシア事業を停止したことを称賛し、中国共産党にも同様の措置をとるようビジネスリーダーたちに求める書簡を送った。
「米国内の立派な組織は、殺人政権とビジネスをしてはならない。中国共産党に流れるお金はすべて、その経済と大量虐殺政権を支えることになる」「利益よりも人権と民主主義を優先させるべき時だ」と強調した。
台湾侵攻前に手を打つべし…米議員「ロシア事業撤退を中国でも」
ダイアナ・ハーシュバーガー米下院議員は、中国の製造業への依存に終止符を打つことは、国家安全保障の課題であると捉えている。
「中国は敵対国家だ。米国は薬や医薬品の有効成分、完成品の90%を中国に依存している。国内製造や同盟国との連携を強化する必要がある」とNTDに語った。
新型コロナウイルスの感染拡大により、今年に入ってからも中国各地でロックダウンが実施されており、サプライチェーン戦略の立て直しが急務となっている。
パンデミックのような世界的な危機により、サプライチェーンの国内回帰がより緊急性を増していると、ハーシュバーガー氏は指摘した。「もし、パンデミックが起きたら、あるいは別のパンデミックが起きたら、私たちは自給自足できるだろうか?」
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