中国国家統計局が15日に発表した1~2月の主要経済指標が軒並み市場予想を上回り、生産活動の回復が示された。これについて、国内の複数のエコノミストはSNS上で、当局の公表は実際の経済データと矛盾していると指摘した。エコノミストらの投稿はまもなく削除された。
発表によると、鉱工業生産は前年同期比7.5%増と、市場予想の4.0%増を超えた。投資の動向を示す固定資産投資は前年同期比12.2%増と、市場予想の5.0%増を大幅に上回った。消費の動向を示す小売り売上高は1~2月が前年同期比6.7%増と、市場予想の3.0%増を上回った。
中国通販サイト大手、京東集団(JDドットコム)のチーフ・エコノミストである沈建光氏と同僚らは15日、SNS微信(ウィーチャット)上で「3つの矛盾がある」と指摘した。
投稿は「今回、主要経済指標が市場予想を上回ったとする発表内容に多くの矛盾があり、実際の経済情勢は楽観視できないとわれわれは考える」とした。
沈建光氏らは、企業投資と密接に関連する企業の中長期貸付は前年同期比で5348億元減少し、個人向けの貸付も同6600億元減少したと指摘し、「実体経済の融資需要が依然として弱いことから、投資が大幅に改善したことを証明できていない」との見方を示した。
また、1~2月のセメントと粗鋼の生産量に関して、沈氏らは「前年同期比での減少幅が拡大している。投資が持ち直したということに逆行している」とした。
微信の親会社であるIT大手、騰訊控股(テンセント)は16日、沈氏の投稿を削除した。同氏の投稿を転載した中国経済金融情報サイト「財新網」や「新浪財経」も同日、記事を取り下げた。
不動産大手の恒大集団でチーフ・エコノミストを務めた任沢平氏も、沈建光氏と同様に国家統計局の公表に不信感をあらわにした。
任氏は微信への投稿で、国家統計局が発表した強いマクロ経済データとミクロ経済データが「合致しない」との認識を示した。同氏の投稿も中国のネット上から消された。
(翻訳編集・張哲)
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