中国国家統計局は15日、若年失業率の公表を当面の間停止すると発表した。閉塞感漂う中国では大学卒業生の失業率が著しく高騰し、「卒業すなわち失業」の状態が続いている。当局は直近6月の16〜24歳の失業率は21.3%と発表しているが、専門家からは実態を反映していないとの指摘もある。
国家統計局の付凌暉報道官は同日の記者会見で、若年失業率の公表停止は「統計作業を改善し、健全化するため」だと主張した。「学生の主な任務は学業である。就職活動を行っている在校生を労働力統計に含めるかについては社会の意見がまとまっておらず、更なる検討が必要だ」と述べた。
国内経済が停滞する中国では大学生の就職難が深刻な問題となっており、16〜24歳の失業率は3カ月連続で最高を更新した。
いっぽう、国家統計局のデータに対し、専門家は疑いの目を向けている。北京大学国家発展研究院で副教授を務める張丹丹氏は、本当の失業率は46.5%に達するのではないかと考えている。就職難が続くなか、多くの学生は就職を先延ばしにするため、統計から漏れていると主張した。
中国問題評論家の石平氏はこのほど、「中国の国家統計局の発表した悪い数字は2倍にして考えるのが常識だ」と語った。中国当局は発表した数字を水増しすることが多く、時に部門の間で経済データが自家撞着することもあると指摘した。
台湾メディアは、中国の若年失業率があまりにも高騰しているため、「政府の威信」を守るために非公表にしたのではないかと報道している。
中国では不動産業の低迷が続くなか、内需が振るわず、輸出も減少している。石平氏は、車両購置税や証券購入印紙税の税収の減少や、大都市での不動産販売面積の減少に着目し、中国経済の低迷を端的に表していると語った。
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