中国からの不正送金が急増 米政府、数百の銀行口座差し押さえ 

2022/03/21 更新: 2022/03/21

中国当局は外貨両替および海外への送金を厳しく制限しているため、違法な手段で国外に資金を移動する中国人が増えている。米政府はこのほど、バンク・オブ・アメリカで不正に開設した中国人名義の口座の差し押さえと資金の押収を裁判所に要求した。

最近公開された米カリフォルニア州中部地区連邦裁判所の裁判資料によれば、2019年以降、数百の中国人が闇送金業者(地下銭庄)などの違法なルートでバンク・オブ・アメリカの口座に資金を移した。

問題となっている資金は現在、米国連邦保安局に差し押さえられている。

中国では、個人の国外送金について、一人当たり年間5万米ドル(約600万円)相当額までと制限されている。

規定以上の資金を国外に移動する需要の高まりを受け、中国で闇送金業者が台頭した。業者は中国にいる顧客から人民元を預かった後、顧客の外国銀行口座に相当額の外貨を入金する手口をとっている。そのため、送金先の国に銀行口座を持っていることが必須だ。

米国の場合、非居住者である外国人が米国内の銀行で口座を開設する場合、パスポートなどの身分証明書の原本、米国での臨時居住情報の提出が必須で、それに加えて申請者本人が銀行窓口で自ら手続きを行う必要がある。

裁判資料によると、中国人から依頼を受けた米国のブローカーがバンク・オブ・アメリカの社員を買収し、違法に銀行口座を開設していた。また、19年以降、米国で銀行口座を開設する非居住外国人(主に中国人)が急増した。

闇送金業者による国際送金は、国と国の間の資金移動がないかわりに、送金先国に多額の運転資金が必要。その原資は詐欺事件や麻薬取引などによるブラックマネーであることが多いため、マネーロンダリング(資金洗浄)の温床になっている。

そのため、米政府は違法口座の資金の没収を要求している。

近年、中国人の海外送金ニーズは高まっている。中国共産党の汚職幹部や、個人資産が政府に没収されるのを恐れる企業経営者など富裕層が主要な顧客になっている。

(翻訳編集・叶子静)

関連特集: 米国