中国では21日、乗員乗客132人を乗せた中国東方航空のボーイング737-800旅客機が南部の広西チワン族自治区で墜落した。中国国内メディア「一点財聞」は墜落について、中共ウイルス(新型コロナ)の大流行で収益が急激に悪化した中国東方航空が旅客機のメンテナンスコストなどを大幅に削減したことに関係するとの見方を示した。
中国民用航空局(国土交通省航空局に相当)は22日夜、中国東方航空の旅客機墜落事故について記者会見を開き、事故調査の進捗状況を報告した。
当局によると、中国東方航空の昆明発広州行きのMU5735便は、現地時間21日午後1時16分に雲南省昆明の空港を離陸し、午後2時17分ごろ高度8900メートルを維持しながら広東省広州市管制区域に入った。午後2時20分、管制官は同旅客機が急降下し始めたことに気づき、呼びかけを繰り返したが、応答はなかった。この3分後、MU5735便はレーダーから消えたという。
発表では、MU5735便には乗客123人、乗員9人の計132人が搭乗していたが、墜落現場で生存者は発見できなかった。
中国メディア「一点財聞」は21日、中国国有航空大手3社の1つである中国東方航空は中共ウイルス感染拡大の影響で、近年業績が悪化したと報じた。2021年の同社の株主に帰属する純利益は「約マイナス110億元~マイナス135億元」という。経営難から脱出するために、中国東方航空は様々な方法でコスト削減を図った。
同報道は2021年度同社の決算報告を引用し、同社は「航空機の軽量化」「ルートの最適化」「航空機補助動力装置(APU)の交換」などを通して、効果的に燃料を節約できたとした。
また、燃料コストだけでなく「機内食や機体備品に関する費用、整備費、日常経費を厳格な管理により抑えた」うえ、「航空資材の在庫削減や投資縮小を通して、キャッシュフローを改善した」という。
同報道は海外メディアによって転載された後、中国民用航空局は同ウェブサイト「中国民航網」で、中国東方航空の関係者の話として「ネット上の情報は事実ではない」と否定し、「年間整備コストについて、2021年は19年と比べて12%増加した」と主張した。
中国のネット世論誘導員らは「一点財聞」の各SNSアカウントのコメント欄で「世論をミスリードした」と批判を展開した。ネット検閲当局は「一点財聞」のこの報道を封殺した。
ただ、中国東方航空がウェブサイト上で公開した2021年年次報告は、経営圧力を軽減するために「整備費」を抑えるなどの方法でコスト削減を図っていると示した。
いっぽう、旅客機が発信する位置や高度の情報を基に飛行コースを公開するウェブサイト「フライトレーダー24」によると、MU5735便は高度約9000メートルから2分余りで8000メートル近くも急降下した。
中国航空業界の専門家、李瀚明氏は21日、国内誌「財経」傘下のメディア「出行一客」の取材に対し、急降下した原因について「パイロットが意図的に自殺を図った、またはミサイルなどで落下させられたことや、飛行機の設計や整備などに問題があったことが考えられる」と指摘した。李氏はコックピット内のパイロット人数に関する中国国内の法規制や国内での飛行ルートであったことを挙げ、1つ目と2つ目の可能性を排除した。
3つ目の可能性について、「同機種は1998年から米航空会社に導入された。この24年間に起きた航空事故の件数は15件を下回っている。設計ミスとは考えにくい。これらの航空事故の多くは離着陸の際の天候と関係している。旅客機があれほど高いところから急降下したケースはほかにない」と李氏は述べた。
米航空機製造大手ボーイングの中国法人は22日、中国東方航空に協力し事故調査に参加すると表明した。
(翻訳編集・張哲)
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