米国と英国、オーストラリアの首脳は6日、3カ国による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」で、極超音速兵器や電子戦能力の開発で協力すると発表した。インド太平洋地域で海洋進出を強める中国共産党やロシアは同兵器の開発で先行しており、抑止力の向上に繋げたい考えだ。
米英豪首脳は共同声明で「自由で開かれたインド太平洋への関与を再確認した」と述べた。ロシアによるウクライナ侵攻にも言及し「人権、法の支配、強制力のない紛争の平和的解決を尊重する国際システムへの揺るぎない関与を改めて確認した」と付け加えた。
オーカスは影響力を拡大する中国共産党を念頭に、2021年9月に創設された。米国はオーストラリアの原子力潜水艦の配備に向けて協力を進めている。
共同開発に挙がった極超音速兵器は音速の5倍以上の速度で飛行するミサイルで、迎撃が難しいとされる。ロシアが先月ウクライナ侵攻で極超音速兵器を使用したことについて、バイデン米大統領は「阻止することがほとんど不可能」と発言しており、米国における同兵器の開発が急がれる。
声明は「人工知能や量子技術などでも協力を深める」とした上で、重要な防衛・安全保障能力に関する作業の進展に伴い、同盟国や友好国との連携を目指すとも記した。
いっぽう、機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」の加盟国であるニュージーランドやカナダはオーカスの参加を見合わせており、中国共産党に対する甘い姿勢が批判の的になっている。
オーストラリア戦略政策研究所のマイケル・シューブリッジ防衛部長は、南太平洋の島国ソロモン諸島と中国が先月結んだ「安全保障協定」によりオーカスの重要性が改めて示されたと指摘した。ソロモンが中国軍の派遣や艦船の寄港を認めるといった内容が協定草案に盛り込まれており、影響力拡大を続ける中国共産党に米国は警戒を強めている。
「AUKUSが創設した理由の一つは、中国人民解放軍の勢力拡大にある」とシューブリッジ氏は以前の大紀元のインタビューで語っていた。
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