[東京 22日 ロイター] – 政府が近く決定する、コロナ禍における「原油価格・物価高騰総合緊急対策」の原案が判明した。自民、公明両党が2022年度補正予算の編成方針で合意したことを踏まえ、新たに「予備費の計上および燃料油価格の激変緩和事業を内容とする補正予算を今国会に提出し、成立を図る」と明記。6月までに経済財政運営の指針(骨太方針)をまとめ、今回の対策とは別に「総合的な方策を打ち出す」ことも盛り込んだ。
ロイターが原案を確認した。原案は、1)原油価格高騰対策、2)エネルギー・原材料・食料安定供給対策、3)新たな価格体系への適応円滑化に向けた中小企業対策、4)生活困窮者支援、5)予備費確保を柱とする今後の備え、6)公共事業の前倒し――などが柱。
原油高対策では、燃料油価格の激変緩和策について、新たに基準価格を168円とし、支給幅を35円に見直す。さらなる超過分についても2分の1を支援する制度を設け、備えを万全にしたい考え。航空機燃料も対象に加える。
LPガスの価格高騰による負担軽減のため、激変緩和制度に準じてタクシー事業者に対する支援も拡充する。
エネルギー・原材料・食料安定供給に向けては、省エネ設備への更新を支援するとともに、電気自動車や燃料電池自動車の導入支援を強化。岸田文雄首相が意欲を示す「包括的資源外交」も展開し、産油国への継続的な働きかけを行う。
ロシアとの漁業協定に基づく操業に不確実性が高まる現状を踏まえ、「関係漁業者に対する支援を機動的に行う」ことも併せて明記する。生活困窮者支援として低所得の子育て世帯に対し1人あたり一律5万円をプッシュ型で給付することも盛り込んだ。
これらの対策財源を予備費から捻出するため、支出分を穴埋めしたうえで一般予備費を5000億円とし、コロナ対策予備費については「新型コロナウイルス感染症および原油価格・物価高騰対策予備費」に改め、使途を拡大したうえで5兆円の水準を確保する。
原案では「原子力を含めあらゆる電源の最大限の活用を進めていかなければ、国民生活や経済活動に不可欠な電力の安定供給の確保に影響が出る」との危機感や、「最近の円安進行による輸入物価の上昇が家計や輸入企業に与える影響にも注意が必要」との認識も示す。
首相が掲げる新しい資本主義実現に向け、物価高に機動的に対応しつつ、6月までに骨太方針をまとめたうえで「総合的な方策を打ち出すことにより、エネルギー分野を含む経済社会の構造変化をリードしていく」との姿勢も打ち出す。
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