米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が発表した最新研究調査によれば、中国政府は国内の人気企業に対して、毎年数千億ドルの助成金を提供している。金額規模では、他の途上国や先進国をはるかに上回る。
CSISは、中国政府が2019年に、直接の助成金給付、低金利の融資、税金の減免、国有投資ファンドによる出資などを通じて、2480億ドル(約31兆5444億円)~4070億ドル(約51兆7684億円)規模の資金を提供したと報告書の中で指摘した。同年の中国の国内総生産(GDP)の1.73%に相当する。
他の調査対象国である米国、韓国、台湾、日本、ブラジル、フランス、ドイツの7カ国の政府産業支出を大幅に超えた。韓国はGDPの0.67%、米国はGDPの0.39%を産業政策の推進に費やしている。
報告書は、中国政府の実際の産業振興に要する経費支出はさらに多いと推測した。「今回の研究調査は定量化できない産業政策の手段を除外した。これらのデータは入手できない、または不完全なものであるため、政策措置は過少評価されている可能性もある」という。
今回の研究調査は米国務省の支援の下で行われたという。
報告書は「産業政策支出に関する透明性の向上とより調和のとれた報告が不可欠である」と強調し、各国の政府に対し「自国の企業や産業を支援する方法について、より包括的で詳細なデータを一貫して提供するよう」呼びかけた。
ただ、報告書は中国企業と他国の企業が受けた支援の格差に対処するための具体的な行動を求めていない。
近年、米国など各国政府は、中国政府の支援を得ている中国企業が低価格で商品やサービスを海外に輸出することを可能にしたと不満を強めている。この理由で中国企業は市場シェアを急速に拡大しており、一方で助成金を受けていない企業は中国企業との競争が難しくなっている。
米中ビジネス評議会(U.S.-China Business Council)のシニアディレクター、ダグ・バリー氏は米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対し、中国企業が政府から多額の助成金を取得しているとの報告には「驚かない」と述べた。
同氏は、中国政府のやり方は米国企業を含む政府助成金を受けていない外国の競争相手にとって「不公平」であり、「世界貿易機関(WTO)のルールや原則に反していないとしても、その精神に反している」と非難した。
在米中国大使館はVOAの取材に応じなかったという。
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