30年まで日本に4000台 中国EV大手BYD、安さの裏に巨額の政府補助金か

2022/05/27 更新: 2022/05/27

今月10日、中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)日本法人は東京都内で、日本向け小型電気バス「J6」と大型電気バス「K8」の新型車両を発表した。同社は、2030年までに日本国内で電気バス累計4000台の販売を目標に掲げている。

BYDの今までの発表によると、同社の日本市場向け大型電気バス「K8」(最大乗車定員81人)の価格は1台3850万円で、小型電気バス「J6」(最大乗車定員31人)は1980万円。国土交通省自動車局が2018年12月に作成した『電動バス導入ガイドライン』によると、電気バスの車両導入費用は1台5000万~1億円程度。BYDの電気バスを導入すれば、コストが大幅に抑えられることになる。

中国深圳市に本部を構えるBYDが日本市場に低価格で電気バスを提供できる背景には、中国政府による巨額な補助金がある。

同社の2021年度報告書によれば、BYDが同年に取得した新エネルギー車への政府補助金収入は計58億6732万2000元(約1104億円)。いっぽう、同年のBYDの親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比約28%減の30億4500万元(約573億円)。政府補助金は純利益の約2倍となった。

中国メディア「新浪科技」の21年10月30日付では、2016~20年にかけてBYDはそれぞれ7億1000万元(約133億7330万円)、12億7600万元(約240億円)、20億7300万元(約390億4630万円)、14億8400万元(約279億5210万円)、16億7800万元(約316億620万円)の政府補助金を取得した。政府の巨額助成金は「販売台数が増える一方で純利益が増えない」同社にとって「重要な収益源になっている」と報道は指摘した。

同社は21年、前年比3倍となる60万台超の新エネルギー車を販売したという。

米国では排除の動きも

近年、中国政府の製造業に対する補助金額は07年の145億元(約2240億円)未満から19年の1600億元(約2兆5300億円)まで急増した。とりわけ「中国製造2025」が実施された2015年以降、非製造業より製造業により多くの補助金が支給されるようになった。

産業補助金の急拡大によって公正な競争環境が損なわれるという懸念が高まっている。WTO(世界貿易機関)では、中国政府による補助金が不透明であり、市場を歪曲させ、過剰生産能力問題の原因になっていると指摘されている。

低価格を武器に海外進出するBYDは、米国でも問題視されている。同社は13年に米国に進出し、全米各地に数百台の電気バスを提供した。

米カリフォルニア州に生産工場を構えているBYDについて、反対者らは「BYDは中国で政府補助金を得ているうえに、米国での工場建設にあたっても、現地政府の税制優遇を受けている。米国の競争相手にとって不公平だ」と批判している。

トランプ前政権時の2019年に成立した米国国防権限法(NDAA)の条項には、中国製のバスや列車を米国の公共交通から2年以内に排除することが盛り込まれている。

中国系企業が公共交通で用いるカメラやセンサー類が、米国にサイバーセキュリティ上の脅威を与える懸念があるためだ。

日本では沖縄シップスエージェンシー社が17年12月、BYDから大型電気バス「K9」12台を導入した。台数としては日本企業の中で最多となる。

大紀元は同社に導入のきっかけなどで取材を試みたが、返答はなかった。

 

張哲
張哲
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