中国共産党が大々的に支援する中国製EV(電気自動車)のシステムが所有者以外によって「実際に遠隔操作できる」ことがまたも、話題になっている。
今月、中国の新興EV「理想汽車(リ・オート)」の新型高級ミニバン「MEGA(メガ)」のオーナーによる告訴がSNSなどで物議を醸している。
このオーナーは「短期間に十数人をフォローした」ことを問題視されて、「理想汽車」のコミュニティ・アカウントをロックされ、携帯電話にダウンロードしてこれまでに使用していた車アプリまでも使えなくなったとSNSを通じて訴えた。
このアプリは車のロックの開閉ができ、キーの代わりにもなるものだ。この車アプリが失効したことにより、オーナーは自動車を使用できなくなったと訴えている。
「自分はいかなる『不適切』なコメントをしたわけでも、何かの違法な操作を行ったわけでもない」として、このオーナーは「理想汽車」に対し、苦情を申し立てた。
すると、「理想汽車」から電話がかかってきて、「アカウント封鎖の原因は短期間に十数人をフォローしたためだ」と言う。
オーナーは「理想汽車」側は、なぜそれが車の使用に影響したのか、「いい加減なごまかしの答えをするだけでまともに回答せず、また謝罪する気も皆無だ」という。
「理想汽車」の車には従来の物理的な鍵もあるが、スマートフォンなどを活用して車の施錠・解錠を行える機能も一部車種では使用できる。
車メーカーによる「恣意的な公権力乱用」をめぐる、この「大事件」は中国SNSで激しい議論を巻き起こした。
「たとえ車の所有者に何らかの不適切な発言があったとしてもだ、車アプリを使えなくさせる権限が車メーカーにあるのか」
「キーが使えなくなったことは、車を遠隔操作でロックできることを意味する、恐ろし過ぎる」
「中共(中国共産党)が支援する(中)国産システムは車の所有者を監視し、いつでも車を遠隔操作できることがよくわかった」
「自動運転技術が成熟した際には、当局は車所有者の不適切な発言を検知し、その車のドアをロックして、車内にいるその人をそのまま近くの警察署へ連行することもできるだろう」
「買ったのは車ではなく、自分の首にかける鎖を買ったようなものだ」
なかには「これはもはや犯罪行為だ」として車の所有者に110番通報をするよう提案する意見もある。
類似事件は今回が初めてではない。早くも2018年には中国自動車メーカー大手のBYD(比亜迪・ビーヤーディ)がすでにやっている。
当時、「車に問題がある」として50台以上のBYD車の所有者たちが杭州で開催された「中国問題車展」に参加し、集団で権利擁護を組織した。しかし、BYDは監視を通じてこれら車を特定し、遠隔操作を通じてロックをかけたのだ。その結果、会場に無事たどり着いた所有者はわずか数人だった。
中国メディアによると、BYDにもスマートフォンアプリによる車の施錠・解錠を行える能力がある。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。