陸上自衛隊と米太平洋海兵隊は太平洋水陸両用指揮官シンポジウム2022(PALS22)を13日から16日まで東京で開催している。英仏豪比など18カ国から約70人の軍幹部が出席し、中国の海洋進出を地域課題として連携を強化していくことを目的としている。中央社によると、台湾軍代表団がこの会合に初めて出席した。
PALSは米同盟国やパートナー国らが集い、安全保障の課題について意見交換する、2015年から年次開催される米主導多国籍シンポジウム。今年、初めて日米合同開催となり、吉田圭秀陸上幕僚長、スティーブン・ラダー米太平洋海兵隊司令官が共催代表者となった。
報道によると、オブザーバーとして台湾軍幹部が米国から招待された。海軍の張世行司令官ら4人の軍幹部が出席しているが、軍制服を着用せず、会場にも台湾の旗の掲揚は控えられたという。
「インド太平洋地域では大国間の競争に加えて、核不拡散体制への挑戦やテロなど多層的な脅威が増加している」と吉田氏は講演で述べた。
米海兵隊はニュースリリースで、「自由で開かれたインド太平洋を支えるため、地域関係の強化・発展、水陸両用相互運用性の強化、危機対応能力の向上を図る」と述べた。
台北タイムズによれば、期間中に米国のHIMARS高機動ロケット砲システム、日本の対艦ミサイル、MV-22オスプレイを使った日米の空中給油訓練が各国代表団向けに実演される予定。
台湾海峡の安定をめぐり、日本やオーストラリア、韓国などインド太平洋地域における同盟国の戦略的役割は増大している。佐橋亮東京大学准教授は11日、「日米同盟が台湾を念頭に組み替えられている」と都内で開かれた講演会で指摘。その傾向は「ノンストップだと思う。日本側にもその気持ちが強く、台湾的感情と世論の支持がある」と分析を示した。
シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)では、米中国防相会談が行われた。オースティン米国防長官は台湾問題に関し、「一層不安定化させる行動」を自制するよう中国の魏鳳和国務委員兼国防相に要求した。台湾海峡の平和は、5月に東京で開かれた日米二国間会談においても共通認識のひとつとして共同声明に記された。
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