米下院議員らは1日、国内の食料供給が脅かされているとし、中国企業などによる米国農業企業の買収を阻止する法案を発表した。議員は声明で「潜在的な脆弱性を突いて米国の農業を支配しようとする外国の敵対勢力に立ち向かう」と強調した。
「農業セーフガード・安全保障促進法案」は、エリス・ステファニック下院議員とリック・クロフォード下院議員が提出した。農務長官を対米外国投資委員会の常任委員に加えるほか、外国企業による農業企業の買収が米国の農業分野にもたらすリスクについて、180日ごとに報告書を提出するよう農務長官に求める。
現在、米国ではハワイやアイオワ州など6つの州で外国人の農地所有を禁止する法律が制定されているものの、農地を所有する米国の大企業を中国の投資家が買収することで回避することができる。法案は抜け穴をふさぐ狙いだ。中国やロシア、イラン、北朝鮮の政府と繋がりのある企業が対象となる。
ステファニック氏は法案提出について、「サプライチェーンの危機がもたらす壊滅的な影響を目の当たりにしている今、米国は、安全保障上の利益を共有しない者たちに食料供給の所有権を譲ることはできない」と述べた。
クロフォード氏は、「中国のような敵対国家は、米国の農業企業を買収したり、農業研究を盗んで経済を弱体化させたりといった手口で、国土を脅かし続けている」と強調。国家安全保障における農業安全保障を認識する必要があると付け加えた。
最近では、中国の化学調味料メーカー・阜豊集団がノースダコタ州に370エーカーの土地を購入し、米国初のトウモロコシ製粉施設を建設する交渉を行っていると発表するなど、中国企業による米国農地などの買収がメディアなどで取り上げられていた。
下院では先月、ダン・ニューハウス議員が農業・農村開発・食品医薬品局・関連省庁の2023年度予算案で、中国、ロシア、北朝鮮、イランが所有または一部を所有する企業による米国内の農地購入を禁止する修正案を提出。音声投票により全会一致で採択されている。
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