11月に入り、米国のIT企業で少なくとも3万5000人がレイオフ(一時解雇)された。21世紀の米国の高収入職を象徴し、株式市場を支えてきたIT産業は陰りを見せており、人員削減の動きが後を経たない。
IT企業のレイオフ状況を追跡するサイト「layoffs.fyi」によれば、今年に入り10万人以上が解雇通知を受けた。今月だけで、72社で3万5000人の人員削減が行われた。
パンデミックが終息に向かうなか、人々は元の生活を取り戻しつつあり、オンライン需要は落ち着きを見せている。経済的な混乱の拡大はデジタル広告の需要低下を招いており、これを収入源とするIT企業にとっては痛手だ。また、金利の高騰はスタートアップ企業への投資の勢いを削いでいる。
巨大IT企業で相次ぐ大規模人員削減
米紙ニューヨーク・タイムズは14日、巨大IT企業アマゾンが約1万人の解雇を計画していると報じた。音声アシスタントのアレクサ(Alexa)を含むデバイス、小売、人事部門に影響が及ぶとされるが、正確な削減人数は明らかではない。
「調査を経て、一部の部門及びプロジェクトを統廃合することを決定した。あるポジションはもはや必要性を失った」。アマゾンのデバイス及びサービス部門で上席副部長を務めるデイヴ・リンプ氏は社員向けメッセージでこうつづった。
「米国は異常で不安定なマクロ経済に直面している。ここ数か月に渡り、顧客と経営における最重要項目について一層の優先順位の明確化を進めてきた」
リンプ氏は「我々は従業員の一人一人と真摯に向き合い支援を行う」とし、再就職を含めたサポートを行う姿勢を示した。
フェイスブックの親会社メタ(Meta)は9日、デジタル広告の需要低下や株価低迷を受け、全従業員の13%にあたる、およそ1万1千人を解雇すると発表した。来年春までは採用も一時停止すると見られている。
ツイッター(Twitter)社CEOのイーロン・マスク氏はツイッター社の買収を完了すると、幹部職員を解雇したのち、全従業員のおよそ半分を解雇した。
マスク氏は「毎日4億円の損失を出し続けている今、こうするほかなかった」と投稿した。
この他、IT企業では数百人〜数千人規模の人員削減が相次いでいる。刻々と変化する世の中で、IT企業は経営の見直しを迫られている。
(翻訳編集・王天雨)
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