もはや効かない コロナ規制を緩和する中共の懐柔策「新十条」【現代中国キーワード】

2022/12/17 更新: 2023/01/25

新十条
中国共産党は清零(ゼロコロナ)政策の緩和に踏み切った。この場合の「緩和」とは破綻の意味に近い。

新疆ウルムチの住宅火災を発火点として一気に広がった白紙革命は、ついに「共産党、下台!(共産党は下野しろ)」という、民衆の誰もが思っていながら口にできなかった「禁句中の禁句」を叫ばせた。中共は、結党100余年にして最大級の衝撃を受けたはずだ。

12月7日、国務院は「新型コロナウイルス感染症予防措置の更なる最適化に関する通知」いわゆる「新十条」を発布する。

しかしその内容は、清零政策の是非という根幹には一切触れず、ただ「特殊な場所以外では陰性証明の提示を求めない」「陽性者は自宅隔離でもよい」など、あくまでも政策の一部緩和を無機的に伝えるものであった。規制緩和は歓迎されるとしても、「新十条」によって中共に対する民衆の信頼が回復する可能性は全くない。

例えば北京では、何の準備もなく規制緩和されたためウイルス感染者が爆発的に増え、病院や薬局に市民が殺到している。

中共は、今更ながら「オミクロン株の致死率は低い」と宣伝して鎮静化を図ろうとする。しかし、患者が多すぎることに加えて、医師や看護師も続々と感染しているため、コロナ以外の救急医療が全くできず、医療崩壊が現実のものとなっているのだ。

当然ながら「やはり清零政策は正しかった」という世論操作を仕込む余地は、もはや皆無である。中共は、確実に急坂を転げ落ちていく。

 

 

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