米英、弾道ミサイル潜水艦の運用・訓練で戦略的パートナーシップを強化

2022/12/26 更新: 2022/12/26

米国海軍の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)は、2022年10月から11月にかけて、インド太平洋、地中海、米国東部沖の3つの重要なイベントからなる洋上作戦、訓練、世界各地への寄港を同盟国イギリスと共同で実施した。

ジョージア州キングスベイに停泊中のオハイオ級「USSウェストバージニア」は、10月19日、アラビア海の国際水域で活動中の米国中央軍司令官マイケル・E・クリラ大将を迎え入れた。 米海軍第5艦隊司令官ブラッド・クーパー中将が 同行した。

「USSウェストバージニアの船員は、米国軍の最高レベルのプロ意識、専門性、規律を代表する存在だ」とクリラ大将は述べ、 「USSウェストバージニアは、米国中央軍が利用できる最先端の火力と戦略的戦闘能力を象徴している」と語った。

その後、USSウェストバージニアは南下し、米国海軍がディエゴガルシア島で艦船や航空機を収容する支援施設を運営する英領インド洋地域へ向かった。 米国海軍の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦にはブルーとゴールドの2つのクルーが存在し、交互にパトロールを行うことで稼働率を最大化し、戦略的要件に必要な潜水艦の数を減らし、適切な乗組員の訓練、即応性、士気を高めることができる。

ディエゴガルシアを出港後、ウェストバージニアは、グアムに展開している米国空軍のB-1Bランサー爆撃機2機と米国海軍のE-6Bマーキュリー機とともに海上で訓練を行い、核指揮・統制・通信手順の強化に努めた。 この任務では弾道ミサイル潜水艦、B-1B、E-6Bの相互運用性を検証し、戦略プラットフォーム間の代替通信手段を用いて、確立された戦術、技術、手順を確認した。

バージニア州ノーフォークに本部を置く米国海軍潜水艦部隊の司令官ウィリアム・ヒューストン中将は、 「ウェストバージニアは、他の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦と同様に、特に長期抑止力のパトロール用に設計されている。 これらの潜水艦のステルス性と応答能力は、乗組員の訓練と相まって、我が国の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦を世界で最も強力な戦艦にしている」と述べた。

一方、「USSロードアイランド」は、地中海にある同じく英国領のジブラルタルに寄港した。

「USSロードアイランドのジブラルタルへの寄港は、この地域の同盟国や提携国に対する我々の鉄壁の約束を強化するものだ」と、イタリアのナポリにある米国海軍第6艦隊/米国海軍欧州・アフリカ司令部の潜水艦任務部隊69司令官ジョン・クラドック大佐は述べ、さらに 「米英は、演習や作戦、今回のような協力活動を通じて、両国の総合的な能力やパートナーシップを強化し、強い協力関係を築いてきた歴史を共有している」と語った。

また、英国海軍の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦が所属するスコットランドのクライド海軍基地(HMNB)には、米国海軍の攻撃型・誘導型潜水艦、誘導型巡洋艦・駆逐艦が日常的に寄港している。

ジブラルタル出港後、USSロードアイランドは地中海で米国海軍E-6B TACAMOおよびP-8Aポセイドン海上哨戒偵察機と洋上通信訓練を実施した。

最後の任務として、11月にはジョージア州沖の大西洋で米英の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦が共同訓練を行った。 この訓練では、E-6B TACAMOやMH-60Rシーホークヘリコプター2機など、米国海軍の航空機との相互運用性、監視、通信訓練が行われた。

英米の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦は潜水艦発射弾道ミサイル「トライデントII D-5」を搭載しており、コストの低減と同盟国間の相互運用性を高めている。

両国のパートナーシップには、共有の港や基地、戦略兵器システム、演習や訓練によって抑止力を高め、世界中の安全保障と安定を強化することなど、戦略的抑止力へのコミットメントが含まれている。

Indo-Pacific Defence Forum