中国感染拡大 致死率の高いウイルス変異の可能性も=感染症専門家

2022/12/28 更新: 2022/12/27

「ゼロコロナ」政策が大幅に緩和された中国で、新型コロナウイルスの感染者が急増している。感染症の専門家は、今回の感染再拡大について、従来のオミクロン株よりも毒性と致死率の異なる変異ウイルスが生まれる可能性が高まっていると指摘した。

ジョンズ・ホプキンズ大学の感染症専門家であるスチュアート・レイ氏は25日、AP通信に対し「中国は人口が非常に多く、集団免疫が限られている。このため、ウイルスが変異するための肥沃な土壌を提供している」と語った。

AP通信の報道では、感染が再拡大するたびに、新たな変異株が出現する可能性があるとしている。14億の人口を抱える中国は、「ゼロコロナ」政策を緩和したあと感染が急拡大し、ウイルスは次の段階に進む可能性が非常に高い。

中国政府の公式発表に基づくワクチン接種率は90%を超え、中国全体のワクチン接種率は比較的高いものの、ブースター接種率や80歳以上の高齢者の接種率は比較的低い水準にとどまっている。中国製ワクチンは米欧製より予防効果が低く、感染拡大を阻止する効果は見込めない。

「感染拡大の新たな波が現れるときはいつでも、その後に新しい突然変異株が出現することはよくあることだ」とレイ氏は語った。

3年前、新型コロナウイルスの感染拡大が中国から世界へと広がったあと、デルタ株やオミクロン株が出現した。

感染症の専門家は、今後中国で出現する新しい変異株は以前のすべての株の組み合わせ、またはまったく新しい変異株になる可能性があると指摘した。また「ウイルスが新しい変異を起こし、より強い病原性と致死性を持つ変異株になる可能性がある」と懸念した。

中国疾病予防管理センターは20日の記者会見で、オミクロン株の変異株は130確認されていると明らかにした。

レイ氏は、ウイルスが時間の経過とともに致死率を下げると信じる生物学的根拠はないとも述べた。「この6〜12か月の間に世界中で見られた感染の軽症化は、ウイルス自体の強さが変化したというよりも、ワクチン接種や感染による免疫の蓄積によるものだ」と指摘した。

中国での感染急拡大について、国際社会では感染状況の実態に関して情報を提供するよう求める声が上がっている。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は21日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染が拡大する中国について、懸念を表明した。中国で「重症者が増えているという報告について非常に懸念している」と述べ、感染状況の全体像を把握するため、より詳細な情報の提供を中国側に求めた。

米国務省は22日、ブリンケン米国務長官が中国の王毅国務委員兼外相と電話協議したと発表し、ブリンケン氏は中国での新型コロナウイルスの感染拡大について、国際社会に対して十分に情報を開示する重要性を強調した。

ブルームバーグなどが報じた中国保健当局幹部の内部推計によれば、12月1日からの20日間で2億5000万人近くが新型コロナウイルスに感染した可能性がある。

「公表された感染者数や死者数は実態とかけ離れている」との指摘が相次ぐなか、中国衛生当局は27日、新規感染者数などの公表を毎日ではなく月に一回程度にするとした。

大紀元日本 STAFF