中国の影響力指数でパキスタンが首位、日本は52位=報告書

2022/12/29 更新: 2022/12/28

台湾の非営利団体ダブルシンク・ラボ(台湾民主実験室)が世界82カ国における中国の影響力を測定した研究で、パキスタンが一位だったことがわかった。南米のパラグアイが中国の影響力が最も低い国となり、日本は52位に付けた。

地域別では東南アジアが中国共産党の浸透が大きく、カンボジアとシンガポールがそれぞれ2位と3位に、タイが4位にランク・インした。中国との貿易戦争の真っただ中にあったオーストラリアは12位となり、米国は21位だった。

南米とアフリカ大陸でも、資源開発の投資で関係を深めているほか、南アフリカともBRICS(新興経済5カ国)メンバーとして友好関係を築いている。

多種多様な浸透工作

この調査では、高等教育、国内政治、経済関係、外交政策、軍事協力、技術、文化的つながりなど、9つのカテゴリーに基づいて各国と北京の関係を調査した。中国の広域経済圏構想「一帯一路」の参加や孔子学院の設置、政治高官の来訪、協力協定の有無なども評価している。

台湾民主実験室の共同創設者兼最高経営責任者(CEO)である呉銘軒氏は、研究は「中国の影響力のさまざまな側面について、世界中の人々の認識を高める」ことを目的としていると述べた。

中国は参入レベルの障壁の低い国に頻繁に焦点を当てており、機会をうかがい他国への影響力を拡大していると付け加えた。

「中国が、一国家にどのように影響を与えるのかについての明確なパターンはない。経済的に独立できたとしても、軍隊やより影響力のある大規模な方法で影響力を行使する場合もある」

一方、台湾民主実験室のプーマ・シェン会長はボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対して、「影響力を行使する方法を比較することで、どう対抗していくかなどを学ぶことができる」と述べた。

研究機関は今後、近年中国の影響力が高まっているアフリカや、2月に北京との「無制限」の協力を発表したロシアについて、研究範囲を拡大する予定だという。

「一帯一路」構想で中国依存高まる 

報告は、技術、外交政策、軍事の3分野において、パキスタンは中国の影響を最も受けていたと指摘した。

両国は「一帯一路」構想の一環として、2015年に中国・パキスタン経済回廊(CPEC)を立ち上げた。この戦略の下で、中国は道路、鉄道、通信ネットワークを建設し、武器を開発することによって、パキスタンへの投資を開始した。

2017年5月、両国は、ディアマーバシャ・ダムとインダス川カスケードの他の4つのダムに対して、全額資金提供を含む500億ドルもの協定に署名した。CPECの下で、中国西部の新疆ウイグル自治区とパキスタンの港湾都市グワダルを結ぶ道路の建設が推進された。同年12月、パキスタンはCPECの一環として9つの工業団地の建設を加速することにも合意している。

さらに2018年には、パキスタンの中央銀行が中国との決済通貨に中国人民元の採用を決めたほか、パキスタン海軍は中国から2隻の054Aフリゲート艦を取得する契約を結んだ。

一部のオブザーバーによると、共産主義政権との広範な二国間関係は、パキスタンを債務の罠に陥らせた。現在、パキスタンには1300億ドル以上の対外債務があり、そのうち300億ドルは中国に負っているという。

今回のデータベース作成に携わったジャーナリスト、シャゼブ・ジラニ氏は「パキスタン国民が中国との関係性を見直し、将来的に何を意味するのかを議論するきっかけになれば」と期待を示した。

(翻訳・大室誠)

Hannah Ng
関連特集: 浸透工作