温室効果ガスの排出を積極的に削減しようというカリフォルニア州の気候計画には「明確な戦略が欠けている」と、立法アナリスト・オフィスが4日、報告書を提出した。
「目標達成には大幅な温室効果ガスの削減が必要だが、カリフォルニア州大気資源局(CARB)の計画はどの政策を実施するかを示していない」と指摘する。
排出量を大幅に削減し2045年までにカーボンニュートラルを実現するという同州の目標を達成するために、CARBは昨年12月に「公平性に焦点を当てた」300ページもの気候行動計画、またはロードマップを採択した。
当局はまた、2030年に向け、排出量を法定義務の40%ではなく1990年のレベルより48%削減することを目指す、より野心的な目標を採用した。
アナリスト・オフィスは、明確なロードマップがなければ、同州各部門は短期間で必要な政策変更の特定と導入を余儀なくされ、その結果「民間企業や世帯にとってより高コストになり混乱を招く」可能性があると述べた。
CARBの計画のもと、これらの目標を達成するためには、同州が金銭的インセンティブ、規制プログラム、またはキャップ・アンド・トレード(排出量に上限を設け、企業に追加の手当を支払うことを要求する政府プログラム)にどれだけ依存するかについては不明だと、報告書は指摘する。
また、この計画は、州議会に必要な情報、特に潜在的な財政的および環境的影響に関する十分な情報を提供していないという。
「信頼できる計画を策定できなければ、他の管轄区域に効果的なモデルを提供したり、グローバルなリーダーシップを発揮するカリフォルニア州の能力に悪影響を与えたりする可能性がある」と報告書は述べている。
アナリスト・オフィスは、議会がCARBに対して、計画を明確にするために7月31日までに報告書提出を指示するよう促している。
化石燃料の廃止、乳牛の削減…制約的な計画
いっぽうギャビン・ニューサム知事はこの計画を称賛している。「一連の気候目標については、産業革命に似た経済変革に拍車をかける世界のあらゆる管轄区域で最も野心的なものだ」と11月に語った。
この計画は、積極的な気候対策とクリーンエネルギーへの迅速な移行を求める知事の呼びかけを反映している。2045年までに大気汚染を71%削減し、化石燃料の消費と需要をそれぞれ86%と94%削減することを目指している。
同州は、過去10年間で排出量を毎年約1%削減してきた。CARBの目標を達成するには、削減のペースを約4%までスピードアップする必要があるとアナリスト・オフィスは述べている。
変革の多くは家や建物の暖房に使われている天然ガスを段階的に廃止することを含め、化石燃料の利用を可能な限り減らすことを迫られる。また、化学物質や冷媒を取り締まり、住民には車ではなく、徒歩、自転車、公共交通機関の利用を奨励することも意味している。
この計画では、同州が、2035年から2045年の間にカーボンニュートラルを達成するための4つのシナリオが導入されており、それぞれ、住民や企業に対して違ったレベルの制約が課せられることになる。
第一の道も最も制約的なものであり、州内の化石燃料の精製に係ることをすべて段階的に廃止すること、車両の走行距離を30%削減し、2035年までに電気自動車のみを道路に許可することを含んでいる。
また、同年までに建物の暖房、空調、給湯器を削減し、電化製品に置き換えることをも求めている。さらには、酪農業から排出されるメタン(または牛糞の排出量)を50~75%削減し、同州の乳牛の個体数を減らすことも義務付けられる。
これ以外のシナリオとして、上記ほど制約的ではなく実施までには相当の時間が掛かると見られているが、大気から二酸化炭素を除去する事業も加速される予定だ。
(翻訳・大室誠)
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