在ポルトガル中国大使館は19日、人権弾圧に加担しているとされる杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)の監視カメラを撤去または移設していたことがわかった。住民からの懸念を受けて、ポルトガル外務省はカメラの設置方法が同国の法律に準拠しているか評価するよう関係当局に要請していた。
大使館周辺には、360度の大型監視カメラが3台設置されていた。中には壁から伸びた金属製のポールに取り付けられ、道路に向けて設置されていたカメラもあった。ポルトガルの法律では、監視カメラは建物や公道に向けてはならず、「建物の入り口に限定する」としている。
ロイターの取材に応じた大使館の道路向かいに住む住民は、「あからさまなプライバシーの侵害」と述べ、撤去を求めていた。
これを受けて、ポルトガル外務省は18日、監視カメラが規則を順守しているかどうかを評価するよう関係当局に要請したと発表。ポルトガルの国家データ保護委員会(CNPD)も昨年12月27日、状況を明らかにするために大使館に連絡すると公表していた。
現在、1台のカメラが取り外され、残りの2台も道路に向かないよう移設されている。この動きが、住民の苦情やポルトガル当局の介入と関係があるのかどうかは、明らかになっていない。
ハイクビジョンは、2001年に中国共産党公安部の後援で設立され、中国国有企業が株式の42%を保有する。中国での集団拘束や監視などの権利侵害に関与しているとして、2019年に米政府から貿易ブラックリストに掲載された。中国共産党政権が新疆ウイグル自治区のイスラム教徒を弾圧するために同社が技術面で支援しているとして、厳しい批判にさらされてきた。
監視カメラ情報会社IPVMが先月発表した報告書では、ハイクビジョンが中国の警察に「アラーム」を送り、国内のデモ隊や法輪功学習者を追跡して、中国共産党政権の弾圧に協力していることも判明した。
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